2021 Fiscal Year Research-status Report
インドにおける内部労働市場の発達:ミクロデータとフィールド調査を利用して
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21K01502
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 隆広 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (60320272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 学 愛知学院大学, 経済学部, 講師 (90804550)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | インド / 内部労働市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一次データであるフィールド調査と二次データであるマイクロデータを用いて、インドの労働市場とりわけ企業内部の労働配分(=内部労働市場)の構造と変化を分析することを目的とする。インドの労働市場変化は、独立後インド経済の「脱農化」(De-Agrarianisation)プロセスを背景として持っている。そこで、この脱農化問題を検討するために、インド農民の大規模標本調査のマイクロデータを用いて、インドの農業問題を検討した研究を行った。インド農家の世帯員が、外部労働市場で雇用を得るようになってきており、農家所得の4割程度が賃金収入から構成されるようになってきたことを明らかにした。この研究は、「インドの農業問題再考」『福岡大学商学論叢』として公表した。 また、インドのマイクロデータを代表する「インド全国標本調査」の特徴を解説し、あわせて、複雑な標本設計に対応した統計量(平均と標準誤差)の計算を行った。標本設定に対応した場合の標準誤差は、標本設計に対応しない場合の標準誤差の2倍程度も大きくなることを明らかにした。この研究は、「インド全国標本調査(National Sample Survey: NSS)の個票データ:第55次ラウンド(1999-2000年度)の雇用失業調査を事例として」『経済経営研究(年報)』として公表した。 2015年と2016年に実施したインドでの現地調査の資料を利用して行った研究を、「新興国における日本型雇用慣行:インドを事例として」として日本労務学会共催の研究会で報告をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ禍のために現地調査を実施できなかったが、インドのミクロデータを用いた研究論文を2本公表できた。また、新型コロナ禍前に実施していた現地調査で得た資料を活用して、インドの企業内部における労働配分に関する分析を進めることができた。以上が、おおむね順調に進展している、とした理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ禍によってインドでの現地調査が難しい可能性があるので、引き続き、これまで蓄積してきた現地調査の資料活用と二次データのマイクロデータ(インド全国標本調査と定期労働力調査など)による分析を継続したい。二次データとして高額ではあるが、インドのシンクタンクが有償公開しているConsumer Pyramids Household Surveyの購読も検討したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍によってインドでの現地調査ができなかったのが理由である。次年度は、現地調査が難しい場合、オンライン調査の実施か、あるいはCMIEの家計調査マイクロデータの有料購読かのいずれかを検討したい。
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Research Products
(4 results)