The development of a computable general equilibrium model with price rigidity and its application

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K01513
• Research Institution: Kyoto Sangyo University
• Principal Investigator: 武田 史郎 京都産業大学, 経済学部, 教授 (00364688)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 応用一般均衡分析 / 温暖化対策 / CGEモデル / 価格の硬直性 / 失業

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、財・サービスの価格や生産要素価格における硬直性（特に下方硬直性）を考慮した応用一般均衡モデル（computable general equilibrium model、以下CGEモデル）を構築し、そのモデルに基づくシミュレーションによって地球温暖化対策の効果を分析し、その上で今後の望ましい温暖化対策のあり方について提示をするという内容である。
今後、世界各国で温暖化対策を進めていく必要があるが、それをどのような政策手段によって達成していくかはまだ明確には決定されておらず、検討課題となっている。多様な政策手段から望ましいものを選択していくには、各政策手段の効果についての定量的な情報が必要であり、それを得るための手法の一つにCGE分析がある。CGE分析は、温暖化対策の効果を事前的に分析する手段として内外で幅広く用いられている。しかし、既存の多くのCGE分析では全ての市場において価格が伸縮的に調整されると仮定しており、これが非現実的であるという批判がある。そこで、本研究は価格の硬直性を考慮したCGEモデルを作成し、温暖化対策の分析をおこなう。
2021年度については、労働市場における価格（つまり、賃金）の硬直性を考慮したモデルの構築に取り組んだ。賃金の硬直性はマクロ経済学、労働経済学で古くから研究されているテーマであり、多くの研究が蓄積されている。そこで、まずそれらの既存の研究のサーベイをおこなった。その上で、CGEモデルに導入可能なアプローチを選択し、プロトタイプのモデルを作成した。さらに、そのプロトタイプのCGEモデルを用いて、試行的なシミュレーションをおこなった

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2021年度については、労働市場における価格（つまり、賃金）の硬直性を考慮したモデルの構築に取り組んだ。おおむね予定通り進捗している。

Strategy for Future Research Activity

本研究は以下のステップで進める予定である。1）賃金の硬直性を考慮したモデルの構築、2）財・サービスの価格における硬直性を考慮したモデルの構築、3）その他の短期的な硬直性（生産要素の部門間での移動の制約など）との融合、4）モデルの温暖化対策分析への応用。2021年度には主に1の作業に取り組んだ。1の作業はほぼ終わったので、今後は2以降の作業に移行する。特に2022年度には2と3の作業をおこなう予定である。

Causes of Carryover

海外出張を含め、多くの出張を予定していたが、新型コロナウィルス問題のためほとんどの出張がキャンセルとなった。そのために次年度使用が生じることになった。次年度には出張のために利用する予定である。