2023 Fiscal Year Research-status Report
The development of a computable general equilibrium model with price rigidity and its application
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21K01513
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
武田 史郎 京都産業大学, 経済学部, 教授 (00364688)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 応用一般均衡分析 / 価格の硬直性 / 温暖化対策 / 炭素国境調整措置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、財・サービスの価格や生産要素価格における硬直性(特に下方硬直性)を考慮した応用一般均衡モデル(computable general equilibrium model、以下CGEモデル)を構築し、そのモデルに基づくシミュレーションによって地球温暖化対策の効果を分析し、その上で今後の望ましい温暖化対策のあり方について提示をするという内容である。2023年度については、EUが導入することを決定した炭素国境調整措置(carbon border adjustment mechanism、以下CBAM)の分析をおこなった。 温暖化対策の主要な中身はCO2排出量の削減という政策であるが、CO2排出削減への取り組み方には国によって大きい差がある。一般的に先進国は積極的に温暖化対策に取り組むが、途上国は経済成長を優先し、温暖化対策への取り組みが進んでいない傾向がある。このように、地域によって温暖化対策への取り組みに大きな差がある場合には、温暖化対策の強度が高い地域における企業の国際競争力が損なわれ、その結果、炭素リーケージが生じるという問題がある。 このような問題に対する対策として考案されたものがCBAMである。CBAMについても既に10年以上前から多くの研究がおこなわれてきたが、実際にCBAMが導入されることはこれまでなかった。しかし、2030年までの大幅なCO2削減の目標を掲げるにあたり、EUがCBAMを導入することを決定した。このEUの決定に対しては世界各国から様々な懸念が生じていた。日本でも、EUのCBAMの導入によって、日本企業、日本経済に大きなマイナスの影響が生じるのではないかという懸念があった。そこで本研究では、グローバルな多地域・多部門のCGEモデルを利用して、EUのCBAMの導入がどのような影響を環境(CO2排出)、及び経済に与えるかを定量的に分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の研究では、重要性の高い温暖化対策の分析をすることはできたが、価格の硬直性を考慮した分析ができなかったので、予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では以下のようなCGEモデルを利用して、温暖化の分析をおこないたい。 1)財・サービスの価格における硬直性を考慮したモデル 2)その他の短期的な硬直性(生産要素の部門間での移動の制約など)を考慮したモデル
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Causes of Carryover |
子の養育などのために十分な時間がとれずに、予定していたよりも研究を進めることができなかった。そのため、計画していた出張を実施することができなくなったため次年度使用が生じることになった。次年度には出張のために利用する予定である。
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