2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the impact of changes in residency and working style in Post-COVID-19 on land prices, urban form and local public finances
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21K01528
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
竹本 亨 日本大学, 法学部, 教授 (60551512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沓澤 隆司 国土交通省国土交通政策研究所, 社会資本経済分析特別研究官 (90418773)
赤井 伸郎 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (50275301)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COVID-19 / ポストコロナ / 都市構造の変化 / 地価 / 人口データ / GIS / 地方財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、第一段階として、新型コロナウイルス感染症の流行による都市構造の変化を、①地価データと②地域メッシュ別人口データを使用して、全国の都市を対象に網羅的かつ定量的に分析する計画である。 計画1年目の令和3年度は、感染前後の地価データによるパネルデータ分析を行い、将来の人々の居住に対する選好を反映している地価が新型コロナウイルス感染症によってどのような影響を受けたのかを明らかにした。 地価は将来を織り込んで素早く動く先行指標と考えられるため、本年度はこれを利用して分析を行った。本研究課題では都市構造の変化を地域メッシュ別人口データでも分析する計画であるが、実際の人口移動は住居の引っ越しなどを伴うために、新型コロナウイルス感染症の影響が人口データに表れるまでには時間を要する。そのため、新型コロナウイルス感染症が発生してからまだ時間がたっていない今年度においては、地価データで分析することのメリットは大きい。 分析の結果、以下のことが明らかとなった。①新型コロナウイルス感染症の感染状況や被害が大きい地点ほど、流行後の地価の下落度合は大きい。②新型コロナウイルス感染症の感染状況や被害による地価の下落の程度は、高層ビルや高層マンションが建つような土地利用の高度化した地点の方がそうでない地点よりも大きい。これらからは、新型コロナウイルス感染症が蔓延している地域では、そこでの居住や業務を人々や企業が回避する傾向が強くなり、土地需要の減少につながっていることが示唆される。 これらの成果を論文にまとめ、日本財政学会第78回大会で報告を行った。そして、そこでの指摘などを修正論文に反映させたうえで、国内学会誌に投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で1年目に実施予定であった、地価データを利用した分析を行い、その内容を論文にまとめて学会報告を行うことができた。さらに、学会報告で得られた指摘などを反映させた修正論文を国内学会誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画2年目の令和4年度は、地域メッシュ別人口データを使用して、新型コロナウイルス感染症の流行による都市構造の変化を分析する。それによって、都市の郊外に人々が移り住む「非コンパクト化」現象が発生しているのかどうかを明らかにする。 さらに、これまでの都市構造とその市町村の財政の関係から、新型コロナウイルス感染症の流行による都市構造の変化が、それぞれの市町村の歳入や歳出に与える影響をシミュレーションする。
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Causes of Carryover |
研究期間内の毎年度に、その時点での最新年度分の地域メッシュ別人口データを購入する(その結果、最終年度に3カ年度分が揃う)予定にしていた。しかし、最新年度と同時に過去の分も購入することができ、その場合には毎年別々に購入するよりも大きな割引を受けられることが判明した。さらに、少なくとも令和3年度と4年度の2カ年度分が揃わないと人口データによる分析はできず、当初から人口データによる分析は計画2年目の令和4年度から行う予定にしていた。そこで、令和3年度には地域メッシュ別人口データは購入せずに、その予算を令和4年度に繰り越し、令和4年度に2カ年度分の地域メッシュ別人口データを購入することにした。
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