2021 Fiscal Year Research-status Report
Normative and Positive Research of the Inequality of Opportunity for Shadow Education
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21K01531
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 宏樹 同志社大学, 政策学部, 教授 (40388046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 亮介 福岡大学, 経済学部, 准教授 (50759272)
金田 陸幸 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50782083)
中村 和之 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (60262490)
安岡 匡也 関西学院大学, 経済学部, 教授 (90437434)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学校外教育 / 有償の教育機会 / 教育達成 / 世帯の社会経済的地位 / 教育機会の格差 / 媒介分析 / FGT指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたる2021年度は、学校外教育の機会格差が教育達成に与える影響の解明をテーマに、理論分析と実証分析を進め、以下のような研究成果を得た。 理論分析においては、安岡匡也関西学院大学教授とともに、公立と私立の2つの学校種、学校教育および塾や予備校、家庭教師など学校外教育の2つの教育機会に直面する同質的な家計の選択が、人的資本の蓄積水準に与える影響を、人的資本の蓄積関数がコブダグラス型である場合と、CES型である場合とでの帰結の違いを対比させる形で分析し、その成果をもとに、日本財政学会第79回全国大会、Economic Society Winter Schoolにて研究報告を行った。なお、論文は、Kwansei Gakuinn School of Economics Discussion Paper Series 232としてまとめるとともに、海外のJournalに投稿し、Under Reviewの状態にある。中村和之富山大学教授は、所得階層内の所得の異質性を考慮した等価尺度の計測をテーマにUniversity of Toyama School of Economics Working Paper 346を執筆した。 実証分析においては、中村亮介福岡大学准教授、金田陸幸尾道市立大学准教授とともに、教育達成の代理変数としての初等教育段階の成績に、家計の経済状況および親権者の最終学歴が及ぼす直接的な影響と学校外教育費を媒介する形で生じる間接的な影響を、日本子どもパネル調査の2010~2014年度のマイクロデータをもとに推定し、その成果をもとに、日本経済政策学会西日本部会第 106 回大会にて研究報告を行った。今後は、日本経済学会2022年度春季大会にて研究報告を踏まえ、分析期間を2016年度まで拡張する等した上で、大学でのDP化、内外Journalへの投稿を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である2021年度においては、当初計画していた理論分析および実証分析それぞれにおいて、暫定的ではあるが、研究成果を得て、それぞれ学会にて報告を行う段階に到達できた。 理論分析においては、学術雑誌の掲載了承を目指し、内容の深化に努めていくとともに、モデルのフレームワークを個人の能力や親から継承する人的資本水準の異質性を加味する方向で拡張するとともに、子どもの数が内生的に決定されるモデルへも拡張し、理論的帰結の変化を検証していく予定である。 実証分析においては、分析期間を2016年度まで広げた上で、分析の頑強性を確認の上、学術雑誌への掲載了承を目指し、内容の深化に努めていく予定である。 目的外使用申請を経て入手した政府統計の個票データの開示が、新型コロナの影響も重なり、申請よりほぼ1年を要したため、2022年度に計画する実証分析の進捗に影響が出ている状況にある。データの整理作業を急ぎ、政府統計を用いた実証分析に取り掛かれる研究体制の構築を急ぎたい。加えて、学校外教育機会をめぐる内外の理論実証研究のサーベイを行い、成果を論文の形式でまとめていくことも想定していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる2022年度は、理論分析および実証分析について、おおむね以下の研究テーマに取り組む予定である。 理論分析においては、2021年度に構築した理論モデルを、個人の能力の異質性を加味する形で拡張し、学校外教育機会が人的資本の形成に及ぼす影響について、考察するとともに国内での学会報告、海外Journalへの投稿を目指す予定である。 実証分析においては、中村(2021)の理論分析の成果も踏まえつつ、全国消費実態調査および家計調査の個票データを用いて、1980年代後半から2010年代半ばまでを実証分析の対象期間とし、学校外教育費をめぐる家計間の格差の水準および時系列的な推移を、子どもの数の違いに留意しつつ、学校種(公立or私立・国立等)、学校段階、学校外教育費の支出別のKakwani係数を計測することで解明するとともに国内での学会報告、内外Journalへの投稿を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスのまん延に伴い、対面による海外学会での報告、研究分担者との対面による国内での打ち合わせ等がオンライン形式に切り替えざるを得なかったため、旅費を中心に次年度への持ち越しが発生した。次年度以降、旅費等を中心に、計画的な執行に努めたい。
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Research Products
(5 results)