2022 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ社会に向けた消費者保護法制の経済分析
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21K01541
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
新井 泰弘 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (20611213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 耕平 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30787817)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 消費者保護 / キャンセル料 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、本研究の課題の一つである「消費者の適切な契約取消方法と取消費用の負担割合」について理論モデルを構築して考察を行った。特に十全な判断力を有しない消費者を考慮に入れた場合、得られた結果や最適な政策がどのように変化するのかについて分析を進めている。また、二つ目の課題である「十全な判断力を有しない消費者が陥りがちな消費トラブルを事前に防ぐための予防制度」を考察するための理論モデルの構築に取り掛かっている。 上述した十全な判断力を有しない消費者を理論モデル上どのように表現するべきか、具体的にどのような種類の被害が存在し、どのような問題に直面することが多いのか、について事例を整理することで、二つのモデルの構築・改善の足掛かりとした。 また、三つ目の課題である「十全な判断力を有しない消費者の厚生をどのように捉えるべきか」と関連し、適切な消費者保護法制を考えるために、政府(もしくは消費者庁)の目的関数を何に設定するべきかを考える必要がある。この問題を整理するために、法と経済学、消費者保護の経済学、社会保障、産業組織論、メカニズムデザイン等の各分野の既存研究を整理している。
本研究における消費者と生産者との戦略的相互依存関係や、法制度の変化が生産者の戦略に与える影響について分析した論文を査読紙であるCanadian Journal of Econmicsと、特許庁令和4年度 産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業調査研究報告書にまとめて出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたよりも消費者の適切な契約取消方法と取消費用の負担割合の理論モデル構築に時間がかかっている。とりわけ、十全な判断力を有しない消費者を理論モデル上どのように取り扱うかに関しての考察に時間がかかっている。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大と大学の方針により、昨年度前半の国内・国外移動が難しく、予定していた海外学会への参加や国内での研究打ち合わせができなくなり、研究の進捗に影響が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き契約取消方法と取消費用、消費者トラブルの予防に関する理論モデルの構築に取り掛かる。今年度整理した消費者被害の事例や、消費者保護を行う政府の目的関数に関する既存研究の内容を軸にして分析を進める。 今年度から新型コロナウイルス感染症の影響がなくなったため、予定していた海外学会や国内打合せを行うことにより研究速度を加速させて効率的に進めるように心がける。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、年度の前半に予定していた国内での研究打ち合わせと海外学会報告の実施ができなかった。そのため当初見込んでいた旅費が消費できず、次年度分へと繰り越されている。今年度に国内出張と海外学会への参加に利用予定である。また、当初購入する予定だった書籍の一部がサバティカル滞在中に大学でダウンロードできたため、その分の金額を他の書籍の購入に充てる予定である。
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