2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K01551
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
木村 匡子 関西大学, 社会学部, 准教授 (90546730)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 出生率 / 教育 / 人的資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、高等教育の男女格差の逆転現象に関する研究に注力した。この研究は、経済発展の過程で高等教育の男女格差が逆転する傾向があることを、男女の肉体的能力と子育て負担の差異の存在により説明しようとするものである。具体的には、昨年度収集したデータや検討した分析手法を用いて、動学的一般均衡モデルのカリブレーションおよびシミュレーション分析を進めた。その結果、実際に観察された出生率、男女の大学進学率、経済成長などの長期的な推移をある程度再現することができた。さらに、いくつかの反実仮想実験を行うことで、モデルのメカニズムにおいて鍵となる男女の肉体的差異や頭脳偏向的技術進歩といった要素が、高等教育の男女格差の推移に与えた影響を評価することもできた。こうした研究成果を“Fertility Decline and the Reversal of Gender Education Gap”というタイトルで口頭発表した。 また、“Fertility differential, public policy, and development”という論文が、国際学術雑誌Economics Lettersにアクセプトされた。この研究は、経済発展とともに個人の所得と子ども数の関係が変化し、出生率が変動してきたことを説明する上で、子どもに対する政府の公共政策が重要な役割を果たしたことを示したものである。 加えて、アウトリーチ活動として、市民公開講座で「子育てを経済学で考える」と題した講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高等教育の男女格差の逆転現象に関する研究に進展があったことに加え、個人の所得と子ども数の関係に関する研究が国際学術雑誌に掲載されることが決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行ったシミュレーション分析の結果は、おおむね現実と整合的であるものの齟齬がある部分も残っている。個人の能力分布などに関するモデルの細かい設定を見直し問題点を解決した上で論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿する予定である。
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