2021 Fiscal Year Research-status Report
企業倒産の特徴抽出と多様な倒産要因を反映した倒産リスク評価手法の確立
Project/Area Number |
21K01563
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
山中 卓 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (90804526)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ファイナンス / 金融リスク管理 / 信用リスク / 倒産 |
Outline of Annual Research Achievements |
金融機関には企業への円滑な融資の実行と継続的な経営支援を行うことが求められている.そのような経営支援を実現するためには,融資先が直面し得る多様な経営難をふまえた倒産リスク評価手法が必要になる.本研究では支払い不能や債務超過などの多様な倒産要因を包括的にとらえる倒産リスク評価手法の開発を目指している. 2021年度は,倒産リスクと財務状況の推移の関係を明らかにするための基礎分析として,財務時系列データの信用格付判別問題における活用可能性を検討した.すなわち,信用格付判別の判別器として機械学習手法として知られる回帰結合型ニューラルネットワークモデルを採用し,その入力データとして企業財務時系列データ採用した場合に,より長期の財務時系列を入力することが判別精度の向上につながるか否かという点について検証した.その結果,より長期の財務時系列を入力データとして採用することによって,格付判別の判別精度が高くなることが確認された. また,企業の経営環境の変化が倒産発生に与える影響について統計モデルに基づく解析を行った.具体的には,企業経営者のもつ景況感を示す指標として知られている「帝国データバンク景気動向指数(TDB景気DI)」に注目し,その時系列データに基づいて倒産件数時系列の予測が可能かどうか検証を行った.検証を通して,上記指数が倒産件数予測において有用であることを示す結果を得た. 以上の成果を国内学会にて報告した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎検証として,企業の経営環境および財務状況と倒産発生の関係性を統計モデルおよび機械学習モデルによって解析し,それらの成果を国内学会で公表した.また,次年度に予定しているモデル構築を進めるために必要なデータおよび計算機環境についてその最低限確保することができている.
|
Strategy for Future Research Activity |
倒産リスク評価モデルの構築を行う.さらに,構築されたモデルの妥当性および有用性を計算機実験を通して検証する.得られた成果を論文としてまとめ,学術誌に投稿する.
|
Causes of Carryover |
当初予定では分析用データの一部を購入する予定であったが,研究協力者からのデータ提供があったため,残額が出た.次年度は実証分析や計算機実験を行い,それらの成果を論文にまとめて公表することを予定している.その円滑な遂行のために,本年度の残額については主に計算機環境の増強および論文執筆のための文献収集・調査等に充てる予定である.
|