2022 Fiscal Year Research-status Report
わが国家計の支払い手段の選択と金融資産需要について
Project/Area Number |
21K01566
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
藤木 裕 中央大学, 商学部, 教授 (90293969)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 現金需要 / キャッシュレス決済 / 暗号資産保有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「日常的な支払いにおいてはキャッシュレス化が進展する中で、現金需要の総量が拡大しているのはなぜか(キャッシュパラドックス)」という問いに答えることである。1年目には、家計の日常取引のための現金需要と保蔵需要をアンケートにより調査した。2年目の本年度は同データを用いて以下3本の実証論文を執筆した。(1)An empirical study of the cash paradox in Japan(2)Central Bank Digital Currency, Crypto Assets, and Cash Demand: Evidence from Japan (3)Cashless payment methods and COVID-19: Evidence from Japanese consumer panel data。(1)では、日常取引・保蔵需要別の現金需要の推定を行い、前者の中央値は5千~一万円、後者の中央値は一万~五万円であった。キャッシュレス決済利用比率は、コロナによる現金支払い頻度の減少とは関係があるが、日常取引・保蔵需要別の現金需要とは関係がないことから、(1)は日本のキャッシュパラドックスを実証的に説明した。(2)は日常取引向けの現金保有残高は暗号資産保有者のほうが暗号資産非保有者よりも少ないことを示した。(3)は支払手段の選択に関する推定である。反実仮想実験によると、日常的支払いの現金使用比率はキャッシュレス還元事業が実施されなければ0.04~0.08ポイント、コロナが流行しなければ0.03ポイント高くなったと予想される。 (2)は学術専門査読雑誌Applied Economicsに2023年3月9日に掲載された。(1)は2022年11月20日に第24回マクロコンファレンスで発表した。(1)と(3)は専門雑誌で審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の中心である(1)An empirical study of the cash paradox in Japanについては、専門雑誌に2022年8月に投稿しており、予定通りの進捗となっている。 (2)Central Bank Digital Currency, Crypto Assets, and Cash Demand: Evidence from Japanについてはすでに専門誌に掲載されており、予定を上回るペースである。 (3)Cashless payment methods and COVID-19: Evidence from Japanese consumer panel dataについては、予定通り学会発表によるコメントも得たほか、査読者からのコメントを踏まえた改訂原稿を2022年3月に提出しており、当初計画通りと言える。なお、学会発表・専門雑誌の査読者から支払手段の選択に関するデータの観測期間を追加をすることで研究結果が改善することを示唆されたため、科研費の旅費の一部をデータ購入費用に振り替え、データを当初計画よりも増強したうえで、改訂原稿を作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
残る2本の研究を査読雑誌掲載を目指して改訂する。(1)An empirical study of the cash paradox in Japanについては、当初予定通り2023年9月開催のドイツ連邦準備銀行の国際会議での発表を申請中である。査読雑誌が審査に時間を要しているが、改訂の機会を与えられた場合はすみやかに改訂原稿を提出する、採択されなかった場合は、査読コメントに対応したうえで、他の専門雑誌への投稿を行う。 (2)については、2023年6月のカナダ経済学会、2023年8月の全米統計学会におけるカナダ銀行主催セッションでの発表が確定しており、同セッションに参加予定のカナダ銀行、米国連邦準備制度の研究者たちと(1)(3)を含めて意見交換を行い、論文のブラッシュアップを図っていく。
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Causes of Carryover |
データセットを追加購入した際に前倒し支出申請を行った。前倒し支出申請の際にはデータセット価格の変動に備えて金額を多めに計上していたこと、英文校閲費用も計上していた。実際にはデータセットが安くあがり、英文校閲費用も発生しなかったため使い残しが生じた。使い残し分は出張旅費で使用する予定。
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Research Products
(2 results)