2021 Fiscal Year Research-status Report
Development Real Options Valuation Models for Pollutant Reduction Investment under Ambiguity and Their Applications
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21K01573
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
辻村 元男 同志社大学, 商学部, 教授 (40335328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リアルオプション / 確率インパルス制御問題 / アーラン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の主な研究成果として,辻村(2021)と吉岡・辻村(2021)について述べる。 まず,辻村(2021)は,企業はアウトプットの需要と資本価格に対する不確実性に直面しており,その下で需要に応じて資本ストックの規模を変更する問題を考察した。企業の資本投資の分析では,多くの場合,資本への投資費用は全額埋没費用である場合について考察している。これに対して,本研究は,資本を他の企業あるいは中古市場に売却ができる場合について考察した。すなわち,資本投資は完全に不可逆ではなく部分的に不可逆である場合を考察した。資本ストックの規模を変更する際には,資本の購入額あるいは売却額に加えて,資本の変更水準とは独立な費用を考慮した。投資規模とは独立した費用の定式化については,Abel and Eberly (1998)を参考とした。こうした事業環境下で,企業がいつ・どれだけ資本ストックの規模を変更すれば良いかについて考察した。 企業の問題は,確率インパルス制御問題として定式化され,準変分不等式を用いて問題を解くことができる。本研究では,準変分不等式を示し,最適な投資規模変更政策を特徴付ける6つの閾値を用いて,資本規模を拡張する領域,資本規模を縮小する領域,資本規模を変更しない領域を定めた。ただし,6つの閾値については数値計算によって求める必要があり,これについては残された課題である。 次に,吉岡と辻村は,環境管理の最適化に関わる諸問題に対して,離散的な観測と制御に着目して,アーラン化に基づく環境管理の理論構築を行った(未公刊)。アーラン化(Erlangization)とは,待ち時間の確率分布がアーラン分布に従う場合の数理モデリング手法を指す。吉岡・辻村(2021)は,アーラン化のアイデアを簡潔に説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実績として,6本の論文を公刊し,そのうち査読付き論文が4本ある。さらに,国際会議での報告が1件,国内の学会の報告が1件ある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に実施した研究を中心に,以下のように研究を進める計画である。 1.辻村(2021)の解を数値的に求める。 2.価格の曖昧性を考慮し,辻村(2021)を拡張する。 3.国際会議で発表した"Capital expansion and reduction with fixed and proportional costs under demand and irreversibility risk"を完成させる。 4.技術進歩の曖昧性を考慮した汚染物質削減投資問題を考察する。
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Causes of Carryover |
Covid-19感染拡大により,参加した国際会議がオンライン開催になったこと,国内の学会・研究会もオンラインとなったため,旅費の使用が発生しなかったことが最大の要因である。他にも,Covid-19は研究の遂行に多大な影響を与えている。 繰り越した額と2022年度の使用額は,当初計画にあるように国内外の学会などへの参加や,当初は予算の関係で参加を見送っていた国内外の学会や研究会への参加などによって使用する計画である。
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