2023 Fiscal Year Research-status Report
Development Real Options Valuation Models for Pollutant Reduction Investment under Ambiguity and Their Applications
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21K01573
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
辻村 元男 同志社大学, 商学部, 教授 (40335328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リアルオプション / 曖昧性 / 資本投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の主な研究成果として,辻村他(2023)について述べる。 本研究は競争市場を想定し,アウトプットの価格に対して上限価格規制が設定され,その上限価格が一定の割合で上昇する場合について,企業の資本投資を考察した。そのために,上限価格内で変動するJacobi拡散過程に従う価格調整係数を導入することで,規制下における価格の動学を表現した。企業の問題は投資によって得られる利益を最大とするように最適な投資タイミングを求める最適停止問題として定式化しした。定式化された企業の問題は,変分不等式を用いて解くことができる。本研究では,数値的に変分不等式を解くことによって,投資タイミングを定める閾値を求めた。さらに,いくつかのパラメータについては感度分析を行い,代表的な結果として次を得た。まず,価格調整係数のボラティリティーについては,ボラティリティーが大きくなるに従い閾値が大きくなり,資本への投資が抑制されることが示された。ただし,閾値の変化は他のパラメータと比較して小さく,意思決定への影響が相対的に小さいことも示された。つぎに,価格調整係数の平均回帰速度については,平均回帰速度がある値に大きくなるまでは閾値は大きくなり,資本投資は抑制されるが,その値を超えると閾値は小さくなり,資本投資が促進されるという関係が示された。最後に,上限価格の上昇率については,上限価格の上昇率が大きくなると,上限価格が低いため資本投資が実行されない領域を除き,任意の上限価格に対する閾値は大きくなり,資本投資が抑制されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実績として,4本の論文を公刊し,そのうち査読付き論文が3本ある。さらに,国際会議での報告が1件,国内の学会の報告が2件ある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に実施した研究を中心に,以下のように研究を進める計画である。 1.Imai and Tsujimura(2022)をベースとして,曖昧性下における企業の資本拡張・縮小問題を考察する。さらには,生産の副産物として汚染物質が排出される場合についても考察する。 2.辻村他(2023)を,容量市場の分析に応用する。さらに,長期にわたる意思決定を考えるため曖昧性も考慮する。
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Causes of Carryover |
2020-2022年度のCovid-19対策によって,予定していた国際会議や国内の学会・研究会への参加が困難であったことが影響を与えている。2023年度は国際会議にも参加できたものの,繰り越し額が発生してしまった。2024年度の使用額は,当初計画にあるように国内外の学会などへの参加などによって使用する計画である。
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