2021 Fiscal Year Research-status Report
Occurrence and Inflation of Asset Price Bubble : An Empirical Analysis of Stock Split Bubbles
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21K01588
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
太宰 北斗 名古屋商科大学, 商学部, 准教授 (50754909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
顔 菊馨 国士舘大学, 経営学部, 助教 (30869780)
小幡 績 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (80345438)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 行動ファイナンス / 資産価格バブル / 株式分割 / 市場センチメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には、本研究課題の成果の一部を「株式分割バブル:マーケットセンチメントとバブルの膨張」『慶應経営論集』(第38巻,25-42頁)として公表した。 本研究課題では、現実の資産価格バブルのデータから、投資家行動の非合理性などを中心に、バブルがどのように発生・膨張していくのか、その構造や過程を実証的に明らかにすることを目的としている。公表の研究はこれに関連して、マーケットセンチメントがいかに投資家の追随的なバブル参加を促したかを検証したものである。なお、研究では1995年から2005年にかけて株式分割を実施した日本の株式銘柄2,197件を対象に、株式分割前後での株価の市場に対する超過収益率の推移を分析した。分析の結果、一部の投資家の期待形成が市場機運に左右されていること、最終的な資産価格バブルの膨張度合も市場のセンチメントが高い時期ほど大きくなることが実証的に示された。これらの結果は、市場の過熱度が資産価格バブルの形成に現実的に影響していたことを示唆するものといえる。 この研究結果は、投資家の非合理的性質が資産価格バブルの発生・膨張に関連する可能性を示すものであり、本研究課題が取り組むバブル構造の分析の端緒となるものでもある。つまり、投資家期待を惹きつけうるその他の要素もバブルに影響する可能性がある。たとえば、市場センチメントというマーケット要因のほかにも、各銘柄の株式収益率の歪度など、投資家の期待を惹きつけやすい性質を持つ分割銘柄では同様にバブルが膨張しやすい可能性があると予想される。なお、これらの複数の要因がどのように構造的に連関しているかは、2022年度以降に取り組む課題でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の遂行にあたっては、各社の公表情報をハンドコレクトすることによってデータベースの拡充を図る必要があり、2021年度には複数の資料より情報収集を行った。ただし、作業量およびアクセス可能なデータ内容等の制約から、当初予定の進捗状況とはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、(1)市場の過熱度がバブル膨張に与える影響、(2)銘柄特性がバブル膨張に与える影響、(3)分割バブルの発生過程の3点を分析することを目指している。2022年度には、このうち(2)の課題について取り組む予定であり、その成果公表については2022~2023年度を予定している。また、可能な限り(3)の課題への取り組みも始め、当初予定の進捗状況の実現を目指していく。
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Causes of Carryover |
データのハンドコレクト作業の遅滞等により当初予定の進捗が得られていないため。 作業の一層の推進のほか、研究活動の本格化により、助成金の使用が必要と見込む。具体的には株価データなど未購入である外部データベースの契約やリサーチアシスタントの採用に充てるほか、研究成果公表のための旅費として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)