2023 Fiscal Year Research-status Report
Emotion, investment, and market equilibrium: from the approach of regret theory
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21K01589
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
秦 劼 (JieQin) 立命館大学, 経済学部, 教授 (40329751)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 後悔 / 後悔理論 / 市場効率性 / 証券投資 / 資産価格評価 / 合理的期待均衡 / 反実仮想 / 感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、後悔が金融市場の効率性に与える影響について考察した。後悔が人々の投資戦略に影響を与えることは多くの実証研究と実験研究によって示されている。後悔回避下の証券投資に関する理論モデルも近年の研究によって発表された。しかし、後悔が証券市場の効率性に与える影響に関してはまだほとんど研究されていない。そこで、本研究は、前年度までの研究で構築した反実仮想下の合理的期待均衡モデルを用いて、後悔が証券市場の情報効率性に与える影響を考察した。モデルでは、後悔回避的な投資家が証券投資をその他の投資先と比較する。さらに、投資したいと考えたが実際には投資しなかったとのような反実仮想的投資先に関する情報も収集する。そのうえで、投資家達が後悔を回避するように証券市場での投資ポジションを決める。このような後悔回避的な投資家達の行動によって、証券市場のファンダメンタルズと関係のないノイズを証券市場に持ち込み、均衡証格に影響を与える。その結果、証券市場の情報効率性が下がる。本研究は、市場効率性を測る独自の方法を考案して、それを用いて後悔の影響を明確に示した。本年度の研究で得られた分析結果を研究会で報告し、未発表論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論モデルの構築は概ね完成した。ただ、モデルから導出した検証可能な結果はまだ十分ではない。本研究の学術的貢献とインパクトを高めるために、理論モデルに基づいてより多くの検証可能な結果と金融実務に対する示唆を導出することが必要であるが、そのための作業は当初の想定より時間がかかり、本研究の全体の進捗状況を影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度までに構築した後悔回避下の均衡モデルを用いて、証券市場の価格形成、市場効率性、流動性等に関する検証可能な結果を導出し、本研究の貢献と完成度を高める。その上、研究成果を論文にまとめて、学会等で報告する。
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Causes of Carryover |
2023年度の使用額はほぼ計画通りであるが、2021年度と2022年度にコロナ感染拡大のために使用額が少なかった影響はまだ若干残っている。次年度使用額は、2024年度の海外出張(米国、 Western Finance Association 2024 Conference)、国内出張(日本ファイナンス学会、日本行動経済学会)と英語論文校正などに使う予定である。
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