2021 Fiscal Year Research-status Report
家計・個人投資家の興味関心態度と情報処理能力が投資行動に与える効果に関する研究
Project/Area Number |
21K01593
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
阿萬 弘行 関西学院大学, 商学部, 教授 (70346906)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 家計ファイナンス / 投資行動 / 興味関心態度 / 情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、第一の研究課題への成果として、各種の家計ファイナンスに関するアンケート調査をもとにして、個人の心理態度、金融知識、資産運用の相互関係を分析した。共同研究による論文・学会報告・分析実施など成果の具体的内容は以下のとおりである。(1)大学生に対するアンケート調査結果を分析し、個人がお金に関して抱く禁忌感(忌避感)が、金融リテラシーと家庭環境と一定の相関関係があることを示した。(2)新型コロナ流行時のマスク価格高騰を素材としたアンケート調査に関して、マスク需要が価格付けの不公正性、経済取引への道徳観念、経済・金融リテラシーから影響を受けることを示した。(3)家計のサステイナブル投資への選好についても研究した。金銭的動機と非金銭的動機を識別し、それらに対して、金融・環境およびモラル・リテラシーの四つの要因の影響を分析した。(4)個人のマネーやファイナンスに対する倫理観が、リスク資産投資へ及ぼす効果について研究を進めた。心理学分野で開発されたマネーへの態度指標、金銭を介した経済取引への忌避感、自身の家計情報の開示への抵抗感を定量化した。アウトカム変数としては、株式投資・リスク資産投資を用いた。(5)個人の興味関心態度と金融行動に関するアンケート調査は既に完了しているため、その結果概要を整理し、分析の準備を行ってきた。 第二の研究課題への取り組みとして、市場データを用いた実証研究を進めた。これまでの研究を発展させる形で、(6)市場流動性(ビッドアスクスプレッドなどの指標)に対するディスクロージャー、マスメディア報道の影響を分析し、内容の高度化を図った。二つの異なる情報源の効果の相違や相互依存関係を分析してきた。(7)企業の広告宣伝による情報伝達が、価格形成や取引高に与える効果に対して分析の深化を図った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のアンケート調査への分析を進めており、家計の資産運用への研究は順調に推移している。また、市場データを用いた投資家行動の分析についても、一部は最終段階に入っていると共に、新たな研究にも着手している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の方向として、アンケート調査が完了し、分析も概ね完了した論文、および、市場データを用いた分析のうち終盤に入っている論文については、迅速に専門学術誌へ投稿していく。アンケート調査完了したものの分析が途上の論文、および市場分析データの発展段階のものについては、丹念に分析し、学会発表・セミナー報告を目指す。次年度での研究助成を用いて、新たなアンケート調査の設計・実施を行う。
|
Causes of Carryover |
概ね分析が完了した論文の投稿への分析精緻化にウェイトを置いたこと、および、新たなアンケート調査の基本設計を入念に行うために、次年度に、新たなアンケート調査と市場データ分析のデータベース購入に関して研究助成金を使用することとした。
|