2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K01602
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
竹野 学 北海商科大学, 商学部, 教授 (00360892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 樺太 / サハリン / 移住植民地 / 工業化 / 都市形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パルプ・製紙業をはじめとする工場や労働者および工業生産額の推移の分析や設立主体である会社の事業投資の分析から、日本帝国の植民地の一つであった樺太の地域レベルにおける工業化の進展とそれに伴う各都市の形成の特徴を明らかにし、樺太の移住植民地的性格について新たな提起および、日本の各植民地における工業化と貿易の議論のなかに、樺太を位置づけ直すことを目的としている。 この目的遂行のため2021年度は、既に研究代表者が収集済みの『樺太庁治一斑』、『樺太庁統計書』、『会社一覧』、『工場統計』などの植民地・樺太の経済分析に関する基本的史料についてのデータ入力については、当初目標の大体8割程度まで作業を進めることが出来た。ただし、後述するような研究遂行への種々の制約により、初年度の研究成果の報告を行うまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、研究活動が大きく制約された。まず、国内の関係史料所蔵機関の直接利用の制限に加え、大学図書館間での文献貸借や複写依頼というレファンスサービスを停止している機関も多く存在したため、国内での新規の史料調査を思うように進められなかった。 また、既に収集済みの『樺太庁治一斑』『樺太庁統計書』『会社一覧』『工場統計』などのデータ入力の学生アルバイトについても、所属大学も学生の来学を制限する期間を設けていたため、アルバイトの実施自体が困難であったり、アルバイトを依頼していた学生が新型コロナウイルスに感染したりと、新型コロナウイルス感染症関連での研究の阻害が多々発生した。 加えて、新型コロナウイルス感染症の蔓延により担当講義を遠隔講義化する必要も発生し、こうした作業のために当初想定していたエフォートについての修正が迫られた結果、研究時間の確保に大きな支障がきたすこととなった。ゆえに、当初計画した研究計画の遂行は困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、前年度の各史料所蔵機関の対応を踏まえて、史料の所在がわかっていながらも現時点で利用が困難となっている諸史料の利用方法を考えつつ、現時点で利用可能な史料を下にした新たな論点の提示を、関係する学会での報告を行うことで、他の研究者との意見交換を通して課題を明確化し、それを研究成果として形にすることを目標としていく。
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Causes of Carryover |
本研究課題の遂行が遅延した理由の項目に記したように、①国内出張や大学図書館間でのレファレンスサービスも断られたことで、史料収集の費用をまったく使えなかったこと。②学生に依頼するアルバイトについては、政府や自治体、および大学の新型コロナ対応の方針の下で、当初計画りではないものの何とか実施できたが、2021年度末にその支払いを行う際に、当該学生が新型コロナウィルスに感染してアルバイト代金受領のための本人の来学・受領が出来なくなる、などの想定外の事態が発生した結果、2021年度内の予算執行が0となってしまったため。
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