2021 Fiscal Year Research-status Report
Adjustment Mechanism of Seasonal Movements in Intra-Asian Trade during the Eighteenth Century: The Case of the Dutch East India Company
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21K01610
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 竜登 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80435106)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海域アジア / 季節変動 / 自然環境 / 港市 / オランダ東インド会社 / ネットワーク / 海域史 / グローバル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
いわゆる近世期、東アジアから西アジアにかけての海域アジアにおいて機能していた港市間の貿易ネットワークを分析することが本研究の主目的である。とくに各港市やその後背地における「季節変動」に着目し、ネットワーク全体が各地の季節変動要因を織り込み、ひとつのシステムとしてネットワークがいかに機能していたかを実証的に検証し、自然環境上の制約を乗り越える工夫を凝らしながら、現代につながる広域経済システムが形成された過程を実証的に明らかにすることを企図した。 そもそも海域アジアでは雨季と乾季が存在するなど季節的変動は現在も人々の生活に重要な影響を与えている。例えば、貿易商品として重要な農産物の生産についていえば、一般的に農繁期と農閑期が存在する。さらに、帆船貿易の時代においては船舶の移動には季節風が重要であった。これまでの貿易史研究は、こうした自然環境的側面を捨象して研究が進められてきたともいえる。人々は単に自然環境的制約をそのまま受け入れるだけでなく、克服の仕組みを作り上げた。本研究では自然環境的制約を克服するためにオランダ東インド会社等が行った工夫を明らかにする。かくして、季節的変動を乗り越え、アジア経済全体が国際分業に基づき密接度を高め、世界的には工業化が進展し、アジア的には本格的な植民地化の始まる19世紀に向けて、1つの動態として変容して行くプロセスを検証することが可能になろう。 2021年度は本研究の第1年目にあたり、とくに、オランダ東インド会社船舶の出入港データの作成とその季節変動分析を行った。各港に来航したオランダ東インド会社船の出発・目的地、出入港日、主要貨物のデータセットを特定年に絞って作成した。また、これまでの研究と合わせ、可能なところから口頭報告を行ったり、文章化して出版・公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに進めている。ただし、新型コロナウイルスの世界的蔓延で、海外へ史料収集には出られておらず、インターネット等で入手可能な史料からの分析を始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には海外渡航が可能になることが予想され、海外での史料調査・収集、国際会議等での報告を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延により海外に史料調査・収集等に出ることができなかった。第2年度目にあたる2022年度には海外出張を実施し、インターネットなどでは入手不可能な史料を入手したり、国際会議等で研究成果の口頭報告を行う予定である。
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Research Products
(5 results)