2021 Fiscal Year Research-status Report
企業とNPOの組織間関係を成功に導く協働マネジャーの役割と能力の解明
Project/Area Number |
21K01624
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大倉 邦夫 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (60634722)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的協働 / 社会的パートナーシップ / 企業とNPOの協働 / ソーシャル・ビジネス / 組織間関係 / CSR経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、地球環境問題・少子高齢化問題・途上国支援などの社会的課題に対して、企業とNPOがセクター横断的な協力関係を構築し、その解決に取り組むようになっている。この状況を受けて、1990年代以降徐々に企業とNPOの組織間関係に対する研究の関心が高まりつつあり、企業とNPOという異なるセクターの組織間関係を成功に導くための要因が検討されている。その中で、実際に組織間関係の管理・運営を担う協働マネジャーという人物の役割の重要性が示唆されている。しかしながら、円滑な組織間関係の実現に向けて、具体的にどのような役割・能力が協働マネジャーに求められるのかという点については十分に検討されていない。こうした点を踏まえ、本研究では、企業とNPOが円滑な組織間関係を実現するにあたり、企業とNPO、それぞれの協働マネジャーに求められる能力を、比較事例研究の方法を用いて解明することを目的とする。 上記の目的に基づき、本年度は協働マネジャーに求められる能力について、文献研究に取り組んだ。具体的には、関連する研究領域である組織間関係論をレビューし、提携能力という概念を援用し、協働マネジャーの能力を以下の3つに整理した。第一に管理能力である。これは、提携の目標の設定、提携の実行、評価に関する適切なプロセスを用いることによって、戦略的提携を管理する能力である。第二に統合能力である。これは、提携のパートナー間での構造的・社会的関係を築くことにより、戦略的提携を統合する能力のことである。第三に学習能力である。これは、提携関係から知識を創造し、吸収し、内部化する能力である。 本研究では、これらの提携能力という概念を、企業とNPOの組織間関係の管理・運営を担う協働マネジャーの能力に援用していく。次年度は、これらを分析の視点に設定し、実証研究を進めていくことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、先行研究の検討と実証研究で用いる分析枠組みの構築を目的に研究を進めてきた。本研究の関連分野である、企業とNPOによる協働に関する研究、組織間関係論(戦略的提携)という先行研究については、おおむね主要な研究のレビューを完了することができた。また、こうした先行研究のレビューを通して、今後計画している実証研究のための分析枠組みの構築にも着手することができた。今後は、その他関係する研究領域や最新の研究についても整理・検討を行う。 こうした理由から、当初の計画通り、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、その他関係する研究領域や最新の研究について整理・検討を行いつつ、本研究の分析枠組みを確定させる。そして、その分析枠組みに基づきながら、インタビュー調査・フィールドワークに基づいた比較事例研究に取り組んでいく。 特に、次年度は広島県において繊維製品のリサイクル事業を多様な組織と協働しながら展開している、株式会社エコログ・リサイクリング・ジャパンを中心にインタビュー調査を進めていく計画である。
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