2021 Fiscal Year Research-status Report
Automotive Industry at the Crossroads: Reimagining Strategies for Growth through The Vehicle Electrification
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21K01644
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
李 澤建 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (40570495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自動車産業 / 電動化競争 / 価値創造 / 研究開発 / 共進化メカニズム / バリューチェーン / 技術ポートフォリオ / 企業成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
CASEやMaaS等が牽引する自動車の電動化競争が産業社会全体に構造変化をもたらしている。中国シフトで加速する自動車の電動化がどのような破壊性と創造性を伴うものなのか。その影響波及のプロセスはどんな企業行動の集積によって可能になったのか。上記問題関心は本研究のカギを成している。2021年度の研究計画は在中企業の企業行動に関する企業調査であったが、コロナ禍により、入構管理が厳格化され、現在、中止となっている。 コロナ禍の影響について、産業全体では社会的関心が高まっており、それに応える形で企業も発信を活発に行うようになった。そのため、在中企業の研究開発拠点に対する調査の代替案として、日系企業の動向に関する公開情報の収集を毎月に行い、データベースを構築している。そのほかでは、有識者との意見交換や自動車問題研究会といった知識ネットワークを有効に利用しました。それによって企業内部に日々推進されている価値創造の組織ルーチンに関する解析は部分的ではあるが、従来では企業調査を通じてしか把握できない内容が察知できるようになった。 なお、初年度では電動化の中心舞台となる中国市場における断面像(時点①)の採集を予定していた。拠点ごとの総合的な価値創造の能力進化に関する把握に課題は残っているが、電動化競争に際して、地域・産業・企業を越えた企業の価値創造活動に共通した進化のメカニズムに関する全体把握ができている。関連分析の初歩的な成果は企業講演(2021年10月開催)を通じて、検証を試みた。これにより、次年度課題への橋渡しを確保できた。 企業調査以外の研究計画はおおむねに順調となっている。2021年11月に開催された国際ビジネス研究学会の全国大会にて、生物学から「共進化」概念を導入した分析フレームワークについて、報告を行った。執筆活動も計画より前倒しにて進めており、次年度の公開となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目標は主に調査項目の確定、仮説設定における事前に推測可能な変化点を洗い出すことである。企業調査の中止は大きな支障となったが、企業が公開した情報をデータベース化することをもって、問題意識の精緻化・理論構築の方向性に一定の成果を挙げている。 元々、調査に予定していた休み期間を、学会報告と執筆活動へ振り替えたので、分析作業は計画より前倒しで着手できるようになった。分析結果をもって、次年度の研究活動で補える点を特定でき、当初の目標通りの研究続行が体制的に確保している。ただ、長期にわたり、企業調査が実行できない場合、進捗が遅れる恐れも否めないため、次年度の実行状況を踏まえ、方策変更を含めて体制の見直しを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究計画では在欧企業の企業行動に関する断面像(時点②)の採集を予定しているが、現時点では、実行可能性に関して、模索中である。欧州における国境管理のほか、コロナ禍の影響で在欧企業が部外者の受け入れを厳格に制限しているためである。 企業調査の代用案として、今年度と同様に、公開情報のほか、有識者との意見交換や自動車問題研究会といった関係者ネットワークによる情報収集を努める。 関連して、理論構築に関して、積極的に学会報告を行い、入手できた研究情報による分析を積極的に行う。2023年度の目標に設定している論文執筆を計画より前倒しで行い、コロナショックという外部要因の波及をまず研究成果としてまとめる。コロナ鎮静化になってから、追って企業調査を再開する。コロナのまん延及びそれに対する企業の対応を立体的に把握し、危機対応に対する観察を通して、通常では把握できない組織ダイナミックスを補足する。「危機をチャンスに」と遂行体制を見直し、よりいっそう完成度の高い研究成果が得られるように努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額では1453円が生じたが、不急不要な出費を控えたため、生じた残金である。次年度予算に合わせて、研究資料の購入等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)