2022 Fiscal Year Research-status Report
Automotive Industry at the Crossroads: Reimagining Strategies for Growth through The Vehicle Electrification
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21K01644
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
李 澤建 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (40570495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自動車産業 / 企業成長 / 技術ポートフォリオ / バリューチェーン / 共進化メカニズム / 研究開発 / 価値創造 / 電動化競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
CASEやMaaS等が牽引する自動車の電動化競争が産業社会全体に構造変化をもたらしています。中国シフトで加速する自動車の電動化がどのような破壊性と創造性を伴うものなのか、その影響波及のプロセスはどんな企業行動の集積によって可能になったのか、上記の問題が本研究の鍵を成しています。2022年度の研究計画では、コロナの収束と同時に、計画通りの執行への復帰として、大きな一歩を踏み出しました。 まず、一次データの収集では大きな前進がありました。本研究の重要な分析アプローチとしての企業調査では、2023年2月に中国のコロナ政策の転換と同時に迅速に行いました。これで、元々2021年度の研究計画の核心的な部分を担う「時点①の断面像(在中企業の開発実態)」の収集が、これまで公開情報にて構築したデータベースに加え、より実態を正確に把握できる企業動向の部分が補完されました。 次には、電動化の中心的な舞台となっている中国において、各社がしのぎを削り技術開発に努めているため、情報公開が従来のガソリン車の研究開発よりも活発になっています。昨年度では、実地調査の代替案として取り入れた公開情報データベースの構築は、想定以上に有用性があることがこの一年間で判明しました。そのため、2022年度でも公開情報データベースの構築に力を注ぎました。実地調査の重要な補完として、電動化競争における地域・産業・企業を越えた企業の価値創造活動に共通した進化のメカニズムに関する全体把握が今年度になって一層進んでいます。 その他の研究計画も大体順調に進んでいます。2022年9月に開催されたアジア経営学会の全国大会では、統一論題の講演者として登壇し、自動車の電動化競争における中国シフトをもたらす要因に関する基本的な理解について報告しました。同時に、同じ内容を論文化し、学術誌に投稿しました。現在査読が終了し、校正作業をしています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響は2022年度の年度末まで続きましたが、2023年2月に急遽実施した実地調査は大きな前進となりました。これにより、初年度の研究目標として洗い出した調査項目の確定や、仮説設定における事前に推測可能な変化点などの有効性が検証され、研究計画の執行に大きな保障となりました。 すでに着手している公開情報に対するデータベースの構築と併せて、実地調査で得た内容に対する初歩的な分析をもって、全体的な問題意識の精緻化や理論構築の方向性に計画通りの成果を挙げています。 また、学会報告や執筆活動などを通じて、初歩的な分析結果とはいえ、積極的に発信することによって、研究施行上の不足や論点補強につながる課題などの明確化ができ、当初の目標通りの進捗が維持されています。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究計画では、在欧企業の企業行動に関する断面像(時点②)の採集を予定していますが、現時点では、実地調査を通じて、在欧の中国企業の研究開発拠点での人員移動が依然コロナ前の状態に回復できていないため、2023年度に状況を見極めてから実施する予定です。なお、現時点では、在欧中国企業を含めて各国企業の動向について、引き続き、企業調査の代用案として、昨年度と同様に、公開情報のほか、有識者との意見交換や自動車問題研究会といった関係者ネットワークによる情報収集に努めます。 関連して、理論構築に関しては、積極的に学会報告を行い、入手できた研究情報に基づく分析を行います。また、2023年度の目標として設定している論文執筆を計画より前倒しで行い、実地調査で入手できた部分に基づき、現状分析のほか、本研究の最大の課題である理論枠組みの構築及び精緻化に取り組みます。 コロナが世界的に収束しているとはいえ、現時点では流動的であり、次年度の実行状況を踏まえ、方策変更を含めて体制の見直しを随時に行います。
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Causes of Carryover |
次年度使用額では420円が生じたが、不急不要な出費を控えたため、生じた残金である。次年度予算に合わせて、研究資料の購入等に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)