2021 Fiscal Year Research-status Report
プロセス産業の製品開発システムにおける外部資源活用
Project/Area Number |
21K01648
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑嶋 健一 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (50313086)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | プロセス産業 / 製品開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、プロセス企業が製品開発を行う際にどのように外部資源を活用するのか(例えば、どのように他企業や大学等との連携するのか)、さらには、その際の有効なマネジメントとはどのようなものであるかを、加工組立企業との比較の視点から明らかにすることにある。チェスブロウ(2003)が「オープンイノベーション」の概念を提唱して以降、外部資源活用の重要性は、実務的にも学術的にも再認識されているが、プロセス産業に関する研究蓄積は世界的みても多くはない。そこで本研究では、日本企業に対するフィールド調査を行い、事例分析を通して、上記の研究課題に答える。本研究の重要な鍵は、産業間比較の視点である。産業間比較では、個別産業に特殊な用語や概念を使わないことが重要である。本研究では、比較分析の視点として、問題解決モデル、設計理論、製品・工程アーキテクチャ論など、汎用性の高い理論やモデルを採用する。 初年度の今年は、理論・実証の両面で本研究全体の基礎作りを行った。理論面では、本研究の土台となるプロセス産業および比較対象となる加工組立産業の製品開発システム、オープンイノベーション、産学連携などに関連する最新文献のレビューを行った。特に、産学連携の理論フレームワークとして近年世界的に注目されている3重らせん(トリプルヘリックス)モデルに着目し、その発展である4重らせんモデル、5重らせんモデルに関するレビューを行った。実証面では、基礎的情報の収集を目的として、化学、食品、飲料などのプロセス企業に対して、外部資源活用や産学連携の現状、さらには過去の成功プロジェクトのマネジメント等に関するインタビュー調査を行った。詳細なケーススタディを行うことができた事例に関しては、4重らせんモデルをフレームワークとした論文としてまとめ、学会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として、ほぼ計画通りに進んでいる。理論面では、順調に関連文献のレビューを進めることができた。実証(フィールド調査)面でも、本研究の土台となるデータや情報をインタビュー調査により収集することができた。アウトプットに関しても、初年度にもかかわらず、カンファレンス論文を1本執筆し、学会で発表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に、学会で発表したカンファレンス論文を、海外ジャーナルに投稿できるレベルに仕上げることが、今後の1つの目標となる。研究内容に関しては、理論、フィールド調査の両面で、さらに掘り下げを進める。理論面では、関連する最新理論のレビュー、重要先行研究のレビューを進める。フィールド調査面では、より多様な企業や事例を対象として調査を進める。両作業から得られた知見については、随時、論文としてまとめて発表していきたい。
|
Causes of Carryover |
研究成果の海外学術雑誌発表を視野にいれて、支出を抑えた。 繰り越した助成金は、主に海外学術雑誌への投稿に使う予定である。
|