2021 Fiscal Year Research-status Report
兼業・副業を活用した人材育成に関する実証的研究:ニューノーマル時代の新たな働き方
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21K01651
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
後藤 誠一 岐阜大学, 地域協学センター, 助教 (90758153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 栄 岐阜大学, 社会システム経営学環, 教授 (30275119)
松林 康博 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (70848580)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 副業の効果と課題 / テレワーク / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度から取り組んでいた副業・兼業の効果と課題に関する文献調査の結果が査読付き論文として日本都市学会年報(第54号、2021年)に掲載された。本論文では、これまでの兼業・副業に関する調査や行政施策、先行研究を踏まえ、兼業・副業における非金銭的意味合い、コロナ禍での産業構造の変化、法整備の遅れや政策同士の矛盾、兼業・副業を学習の視座から捉える必要性等を指摘し、兼業・副業の効果を最大化し、課題を解消するために検討すべき論点を明示した。また、新たな視点として、副業と親和性の高いテレワークに着目し、テレワークと副業を両方導入している企業について、テレワークにおける人事考課に必要な評価根拠や業務把握の方法、副業導入に向けた要件について事例分析を行い、日本都市学会第68回大会において発表(2021年10月24日)した。具体的には、経営層の意識、従業員同士の関係構築、自律的な業務を可能とする支援、本業と副業の業務範囲、人材育成、ニーズ把握といった事項について報告を行い、他の研究者との有益な議論が展開でき、今後の研究に資する情報や検討すべき論点を得ることができた。並行して、副業マッチングや支援を行うNPOとの情報交換により、副業の現状、課題や可能性などについて聞き取りを行うことができた。 これらの研究成果により、副業に関する質的、量的調査を行う上で必要な質問項目を設定するための基礎的な情報の整理を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍等により量的調査や現地調査は着手に時間がかかっているものの、2020年度から文献収集や分析、調査先との関係構築を進めていたことで、文献調査や聞き取りにより兼業・副業の実態について把握することができ、その成果として査読付き研究論文1本、学会発表を1回行うことができた。企業及び労働者を対象とする量的調査は準備中であるが、副業従事者とのマッチングを行うNPO担当者と意見交換ができたことや、科研開始前から進めていた文献調査により、量的調査や現地調査における質問項目作成や調査対象を固めることができ、2022年度以降調査に取りかかることができるようになった。 また、本研究の進捗管理や情報交換、研究内容の検討のための研究会を共同研究者や研究協力者と定期的に行うことで、コロナ禍での研究上の困難・課題を協力して乗り越えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響もあり調査は少し時間がかかっているものの、計画に示していたように3年目である2023年度には、量的調査や現地調査による副業の実態を明らかにでき、人材育成のためのプログラムの開発や試行に着手できる予定で進捗している。調査先については、共同研究者の有するネットワーク等を活用して、調査対象の見通しが立っており、質問内容や対象範囲が確定次第実施する予定である。また、今回の論文や発表を通して、企業の人材育成においては、副業のみならず、プロボノ・ボランティア、地域活動への貢献といった労働者のパラレルキャリアにおける成長といった面を検討することの重要性も明らかになったことから、副業の意義や課題だけではなく、副業を含めた労働者の生涯にわたる成長や地域・社会への学習成果の還元を射程に入れた「生涯学習としての人材育成」の視点も持ちつつ検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により現地調査(学外出張)が困難であり、学会や研究会もオンラインで実施するものに参加したことで、旅費や謝金等を使用する機会がなかったこと、現地調査で使用を予定していた物品も購入をしていないことから次年度使用額が生じた。今年度は、現地調査が可能な状況であれば、出張旅費や現地調査に必要な物品の購入を行う予定であり、また、量的調査の実施に必要な経費を支出する予定である。
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