2022 Fiscal Year Research-status Report
兼業・副業を活用した人材育成に関する実証的研究:ニューノーマル時代の新たな働き方
Project/Area Number |
21K01651
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
後藤 誠一 岐阜大学, 地域協学センター, 助教 (90758153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 栄 岐阜大学, 社会システム経営学環, 教授 (30275119)
松林 康博 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (70848580)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 副業 / テレワーク / 地方に対する意識変化 / 働き方の多様化 / ウェルビーイング / ワークライフバランス / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、働き方や生活に関する各種調査結果の分析を基に、副業やテレワークを活用し、ワークライフバランスやウェルビーイングを実現することが可能な地方の良さを活かした働き方を検討し、その可能性や課題を明らかにした。研究成果については、日本都市学会第 69 回大会で発表するとともに、「日本都市学会第 69 回大会パネルディスカッション 『グローバル社会における都市の脆弱性と“新常態”の模索』」パネリストとしてニューノーマル時代の新しい働き方について学会員等との意見交換を行い、新たな知見を得た。 具体的には、本年度の研究を通して以下の点を明らかにした。①コロナ禍、地方移住への関心の高まりといった、地方を志向した働き方・住まい方の意識変化がみられる。②コロナ禍の働き方で、副業とテレワークの活用拡大がみられるとともに、移住後の仕事といった地方移住に関連する課題への対応策として副業とテレワークの活用可能性を示した。③副業やテレワークを活用し、ワークライフバランスやウェルビーイングの実現に資する地方の良さを活かした次の三つの新しい働き方(・テレワークで都市部での仕事を維持し地方移住、副業を対面勤務やテレワーク勤務、・地方に移住転職、副業を対面勤務やテレワーク勤務、・都市部での居住や仕事を維持、地方での副業を対面勤務やテレワーク勤務)を提示した。④上記三つの働き方について、テレワークや副業の活用によるワークライフバランスやコストカット等のメリットを整理し、地方での生活や就労への不安といった課題の解消に向けた論点を労働者、企業、自治体の視点から提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに先行研究や各種調査の分析・整理により副業・兼業に関する意義と課題、また、副業と親和性の高いテレワークに着目し、テレワークと副業を両方導入している企業について、テレワークにおける人事考課に必要な評価根拠や業務把握の方法、副業導入に向けた要件を明らかにしてきた。今年度の調査や研究発表、シンポジウムにおける意見交換等により、ニューノーマル時代の新しい働き方として、地方に対する意識変化とテレワークや副業を活用した新たな働き方を都市と地方の関係やニューノーマル時代における働き方やワークライフバランスやウェルビーイングの視座からも踏まえて考察することができた。兼業・副業を含む新たな働き方の意義、可能性、課題を析出するとともに、その新たな働き方を前提とした人材育成のあり方を検討するための分析軸を設定することができた。これらにより、兼業・副業を含めた新しい働き方を活用した人材育成のあり方の実証的な分析やプログラム開発につなげることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
企業等における兼業・副業を含む人材育成面における意義や効果の分析は、23年度以降の課題である。人材育成という点でいえば、生涯学習、リカレント教育、学び直しに加えて、リスキリングといった観点もあることから、兼業・副業を含めた働き方と人材育成のあり方を考察していきたい。また、兼業・副業の導入によって生じる企業や行政の人事担当部署(人事担当者)における課題や可能性の考察も進めたい。これにより、兼業・副業を含めた新しい働き方を踏まえ、ウェルビーイングやワークライフバランスを実現する人材育成のあり方の実証的な分析やプログラム開発につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
学会、研究会、打合せ等がオンラインで実施するものが多くなり、結果として旅費および現地で使用するための機材・資料等の購入や複写・郵送等の雑費支出も少なくなったため、次年度使用額が生じた。徐々に出張等の学内制限も緩和されてきたことから、調査等の旅費支出や調査時に必要となる物品・サービスの購入を予定している。
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