2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K01663
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
平尾 毅 京都橘大学, 経営学部, 教授 (50361861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 雄介 武蔵野大学, 経営学部, 准教授 (90635682)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イノベーション政策 / ナショナル・イノベーション・システム / 制度変化 / アカデミックセクター / 非財務情報 / イノベーション / ROE / ROA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は「社会に複数の認識枠組みが存在する場合、それらはどのようにして社会的合意を形成したのだろうか」を基本的な問いとし、イノベーションの主要アクターである産業界のイノベーションに関する認識の変化を確認するために、有価証券報告書データベースのデータマイニングとテキスト分析を行った。また、日本のイノベーション政策と学術界の関係を明らかにするために、昨年度実施した研究「科研費研究課題におけるイノベーションに言及した研究の動向―テキストマイニングによるパイロットスタディ―」をデータセットの作成からやり直した。 まず、2004年から2020年の間に有価証券報告書でイノベーションに言及した企業を対象にした研究の目的は、財務パフォーマンスとの関係を記述統計で検討することである。研究の結果、第1に、企業年齢と言及率はU字型になっている、第2に、言及企業の財務パフォーマンスは非言及企業より良い、第3に、しかし外れ値企業では言及企業の財務パフォーマンスが大幅に悪化する、という点が明らかになった。また、言及企業についてはシグナリング効果、外れ値企業については機会主義的行動あるいはイノベーションの不確実性を示唆していることを指摘した。 次に、後者の研究の目的は、イノベーション政策の転換に対して、日本の学術界がどのように対応したかを明らかにすることである。研究の結果、第1に、制度の経路依存性のために、変革的イノベーション政策には多様性がある、第2に、日本の大学はインセンティブ構造を変えることで、企業家的機関へと変革する改革を実施している、第3に、こうした変革に対する研究者の近視眼的対応は公共財としての新しい知識の創造と蓄積を阻害する恐れがある、という点が明らかになった。ただし、3月末に脱稿したため、今後の研究の展開に関する計画としては4月に英文校正に出し、その後、国際ジャーナルに投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度実施したイノベーション政策と学術界との関係に関する研究を進展させるために、データセットを作成しなおしたことが最大の理由であるが、論文「Impact of Innovation Policy on the Academic Sector: Evidence from Japan」(仮題)にまとめることができた。 さらに、イノベーションの主要アクターである政府や産業界、世論を形成・反映するメディア(新聞)に関する基本的なデータセットは作成済みであり、日本におけるイノベーションという概念の普及プロセスに関する分析の段階に入っている。 また、新規概念の普及プロセスに関する新たなデータ分析ツールの獲得を目的として、Googleトレンドを用いた学術論文1篇を執筆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は2022年度と2023年度の基本的な問いを合わせて推進する。公式および非公式の制約の相互作用を通して、いかにイノベーション政策が形成されたかを明らかにするために、各アクターの認識の相互作用を研究し、さらにそれがイノベーションの実態にどのように影響したかを研究する。具体的には、「社会に複数の認識枠組みが存在する場合、それらはどのようにして社会的合意を形成したのだろうか」と「各アクターの認識の相互作用は、実際のイノベーションにどのような影響をもたらしたのだろうか」を基本的な問いとし、各アクターの認識変化の実証分析を行う。主に使用するデータは、国会議事録、総合科学技術・イノベーション会議等の議事録、経団連巻頭言、有価証券報告書、メディア(新聞)の文章データなどである。 また、これらの研究の成果を国際学会やワークショップなどで発表し、査読誌に投稿していく計画である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、データセットの作り直しなどが主な原因となり、2022年度中に海外ジャーナルに投稿予定の学術論文を脱稿できなかったことによる。 使用計画は、2022年度中に投稿できなかった研究成果の英文校正費用や海外ジャーナル投稿料、国際会議等で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)