2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on network organizations that promote the formation of entrepreneurial networks and the acquisition of social capital
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21K01664
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
守 政毅 立命館大学, 経営学部, 教授 (00434704)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 企業家ネットワーク組織 / 社会関係資本 / 構造的隙間の橋渡し / 信頼関係の構築 / 華商(華人企業家) / 中華総商会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ネットワーク組織のどのような構造と特徴が、企業家のネットワーク形成と社会関係資本の獲得に対してどのような役割を果たすのかを問題意識とする。そして、華人企業家のネットワーク組織(中華総商会)を対象に、(a)ネットワーク組織の構造や活動頻度が、構造的隙間の橋渡しによる企業家ネットワーク形成と、社会関係資本の獲得に与える影響について明らかにする。次に、(b)ネットワーク組織内の規範や組織活動が、企業家の参画・貢献を通じた信頼関係の構築による企業家ネットワーク形成と、社会関係資本の獲得に与える影響について明らかにする。そのうえで、(a)と(b)を統合的に説明する理論構築及び実証に貢献することを目的とする。 令和3年度は、(a)と(b)について、先行研究のレビューと命題の導出を通じた研究の課題と仮説の導出、研究枠組みの構築を進めた。(a)では、ネットワーク構築の度合いと組織活動の頻度を異なる複数の中華総商会間で比較するため、それらが相対的に高いシンガポール、マレーシアと、相対的に低い日本、インドネシアとを比較する設定とした。次に、(b)では、複数の中華総商会を比較することで、単純な線形関係でない、より複雑な関係を明らかにするための仮説設定と分析プレーワークを準備中である。 また、分析対象を、華人企業家のネットワーク組織である「中華総商会」としているため、今後分析を進める予定のシンガポール、マレーシア、日本、インドネシアについて、公表されている年次報告書や活動報告書に基づいて、その組織構造と活動に関するデータベースの構築に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「先行研究のレビューと命題の導出」について、当初は令和3年度中に論文にまとめて学会報告と論文発表を行う予定としていたが、先行研究のレビューと命題の導出が年度末にようやく完了した。そのため、令和4年度前半期に研究会を開催して対外発表を行い、関連分野の専門家から批評を受ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、(a)ネットワーク組織の構造や活動頻度が、構造的隙間の橋渡しによる企業家ネットワーク形成と、企業家の参画・貢献を通じた信頼関係の構築による社会関係資本の獲得に与える影響について、以下の5段階で研究を進める。 ①インタビュー調査の実施と仮説構築:インタビュー調査を実施し、その結果を検討したうえで、インタビュー前に導出した命題を修正する。さらに、命題から実証分析により検証可能な仮説を導出する。②質問票調査の準備とプリ・テスト:導出した仮説を検証するための質問票を作成する。インタビュー調査を行った対象者に対して、対面方式による質問票のプリ・テストを行い、そこから得たコメントをもとに質問票を修正する。③質問票調査の実施: 質問票を送付し回収作業を行う。④質問票調査の分析と論文作成:質問票調査から得たデータを用い、仮説検定を行う。結果を検討し、論文を作成する。⑤国内学会での成果発表:研究成果をとりまとめ、国内学会で報告する。 なお、対象国・地域として、ネットワーク構築の度合いと組織活動の頻度を異なる複数の中華総商会間で比較するため、相対的に高いシンガポール、マレーシアと、相対的に低い日本、インドネシアとを比較する。
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Causes of Carryover |
旅費について、国内学会に参加をしたが、コロナ禍でオンライン開催であったため、支出がなかった。未使用分は、次年度以降の学会参加やインタビュー調査の旅費として使用する。 人件費・謝金については、中華総商会に関するデータベース作成を研究者自身が行ったため、使用しなかった。未使用分は、次年度以降で実施するアンケート調査で、作業補助やデータ整理の研究補助者(RA)への謝金として使用する。
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