2023 Fiscal Year Research-status Report
Building a dynamic model of regional collective impact and backbone organization formation
Project/Area Number |
21K01665
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
吉田 忠彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (20210700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 雄久 近畿大学, 経営学部, 教授 (10243148)
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
後 房雄 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (20151855)
團 泰雄 近畿大学, 経営学部, 教授 (60298502)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | コレクティブ・インパクト / バックボーン組織 / 中間支援組織 / NPOサポートセンター |
Outline of Annual Research Achievements |
地域コレクティブ・インパクトとバックボーン組織形成の動態モデルの構築のために、そのケースとして「まちづくり情報センターかながわ」の設立前から解散に至る約35年の活動や構成員の動向を詳細に調査した。 「アリスセンター」という通称を持つ同団体は、日本の市民活動の中間支援組織の先駆として知られ、NPOがブームとなっていた頃には後発の団体の見本となっていた。しかし、当のアリスセンターのメンバー達は、市民運動へのコミットはあったものの、ブームとなってさまざまな動機でNPOを立ち上げる人びとのすべてに共感し、支援をしたり、共同活動を行ったわけではなく、むしろそうしたブームに対して批判的な見方を持ちながら、他方では自分達が注目される流れを利用しようともしていた。また、アリスセンターに出入りする人びともそれぞれにバックグランドや意図が異なり、それぞれアリスセンターの活動に影響を与えた。そうした様子をアリスセンターが残したドキュメンツの分析と、関係者へのインタビューを重ねながら記述した。 これらのアリスセンターについての厚い記述は、草稿段階から関係者のチェックを受けながら修正を繰り返し、3回に分けて紀要論文とし、さらにそれをベースに関係する背景などを追加した記録を作成した。すでに完成稿に近いものが出来上がっており、出版の計画を立てている。 一方、理論的な構成のために、言語論における「言語論的転回」の概念を援用し、団体や制度の変化の分析のための概念構成を試みた。それについて学会での口頭報告を行い、その内容をまとめた論文を投稿し、掲載が決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まとめの年度を想定していたが、ケースの対象としている「アリスセンター」が当該年度に解散することになり、その様子を参与観察すべきと判断し、さらに観察と関係者への聞き取りなどを継続したため。動態的分析のためには、組織の解散という事象はきわめて重要なことがらであり、実際にその様子を参与観察する中で多くの情報とあらたな聴き取り機会を得ることができた。それらの整理のためには、拙速になってはならないと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ケースの詳細な分析の中で、観察団体の解散という大きな事象に遭遇することになったために、その観察を続けている。団体の会員となり、さらに解散に関する会議、シンポジウムなどにも参加することによって新たな情報と聴き取りの機会を得ることができた。 すでにベースとなる論文を作成済みであるので、解散に関わる新しい情報にもとづいた記述の追加を行い、聞き取り対象者のチェックなどを依頼し、まとまった記述を完成させる。そして、それを出版する。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:当該年度の調査対象の中心としていた団体の解散が決まり、その状況をさらに追加的に調査することとしたため。解散の状況を参与観察するために、対象団体の会員となり、会議に出席した他、解散にかかわるシンポジウムなどにも準備段階から参加し、観察を行ったため、その調査記録を現在もとりまとめ中となっている。
使用計画:調査対象の中心としていた団体の設立から解散に至る様子を詳細に記述することを総まとめする。そのための追加的文献調査に使用する。また、そのモノグラフを図書として公刊する準備をしている。本研究の成果のまとめとして、出版に関わる諸費用などに使用する。
|