2021 Fiscal Year Research-status Report
The potential for innovation in achieving sustainability through Official Development Assistance (ODA)
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21K01672
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
七丈 直弘 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30323489)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ODA / 科学技術イノベーション政策 / 自然言語処理 / BERT |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向け、政府開発援助(ODA)において科学技術・イノベーション(STI)を効果的に活用することが求められている。しかし、ODAの現状をみれば、ODAの個別案件レベルではSTIを活用した事例も散見されるが、大多数のODA案件では明確な関係性はない。本提案では、SGDsの実現に関与する主要なステークホルダーの相互の関係性をシステムとして捉えることでODAとSTIの統一的理解を試み、SDGs実現に貢献が期待されるテーマ設定、組織間連携手法、制度設計等について考察を行うことで、ODAにおけるSTIの活用促進を目指す。分析を行うにあたり、近年発展しつつある自然言語処理アルゴリズム(Transformer, BERT等)を活用し、ODAとSTIに関する大量データからその構造の定量的把握・抽出を試みる。成果として得られる、データセットや提言は広く一般に公開し、関係機関に働き掛けることで社会実装を促す。 本年は開始年度であるため、分析の実施に必要な基礎的調査とデータセットの確認を行った。ODAの事業データについてはOECD開発援助委員会(DAC)が一般公開しているCRS(Creditor Reporting System)を取得し、主要項目の確認とその定義の把握を行った。また、CRSに登録されたODAの案件情報を基に、BERTによる識別アルゴリズム(RoBERTa)を活用し、少数の学習データに基づきfine-tuningをおこなうことで、一定程度の識別が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ODAとSTIの統一的理解を行うために、ODAにおけるSTI(ODA事業でありながらも、フラスカティマニュアルで定義されているようなSTIに区分されるような活動を一定程度含むもの)、STIにおけるODA(STI振興のための事業でありながらも、OECD開発援助委員会におけるODAの定義に合致するような活動を一定程度含むもの)の同定を行うことを予定しているが、その実施には機械学習に基づく自然言語処理を活用することを計画している。自然言語処理に関する先端的研究を行っている研究者の助言により、その試行が大幅に進展した。また、機械学習に基づく自然言語処理は日進月歩のように進展が速い分野であることから、最新の言語モデルを活用することで、従来予想できなかった高精度での識別が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ODAの事業データについてはOECD開発援助委員会(DAC)が一般公開しているCRS(Creditor Reporting System)を取得し、主要項目の確認とその定義の把握を行った。また、CRSに登録されたODAの案件情報を基に、BERTによる識別アルゴリズム(RoBERTa)を活用し、少数の学習データに基づきfine-tuningをおこなうことで、一定程度の識別が可能であることを確認した。また、得られたデータを分析し、可視化等を通じて、STIという観点からのODA事業の構造の把握と、各国のODAのSTIとの関連状況の把握を行う。得られた研究成果は、学会や論文を通じて広く社会に発信を行う。
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Causes of Carryover |
機械学習に基づく自然言語処理を活用するにあたり、当初は謝金によるサポートスタッフの役務等によって基礎的分析を行うことを予定していたが、他の研究プロジェクトで共同研究を行っている研究者からの適切なアドバイスを得ることができたため、コストの削減および迅速化、そして高水準な成果を得ることが可能となった。この状況によって節約できた時間と費用については、今後の論文出版費用などに供することにより成果の最大化を図る。
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