2021 Fiscal Year Research-status Report
Pros and cons of emotional intelligence in organizations: The case of Southeast Asia
Project/Area Number |
21K01676
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 与志 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 准教授 (80325208)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 情動知能 / 組織行動 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、組織における情動知能(emotional intelligence)について、その「功」と「罪」それぞれをもたらすメカニズムや、異なる結果が生じる条件について明らかにすることを目的としている。2021年度は、関連する内容について文献レビューとインタビューに基づく探索的事例分析を行った。 まず、産業・組織倫理学分野を中心とする情動知能についての文献レビューに基づいて、分析枠組み・方法論を精緻化した。具体的には、功罪両方が生じる過程をそれぞれ明らかにするという理論的な要請と対象国であるベトナムとミャンマーの特質から重要と考えられる媒介変数、調整変数を特定し、焦点を絞った形での文献レビューを行った。その結果、とくに国レベルや組織レベルの文化、個人特性による調整が重要であることが明らかになり、枠組みだけでなく分析方法の改善にも反映させることができた。 また、精緻化した分析枠組みの適用可能性を検討するために、対象国の研修機関を利用した経験のある企業経営層・従業員及び現職を持つ経営大学院の学生の中からサンプルを抽出し、個別にインタビューを実施した。因果関係が想定される関係を事例から導くことの妥当性が比較的大きい個人の態度や行動、社会的関係に焦点を絞ってデータを収集した。収集データに基づいて、情動知能の功罪に関する探索的事例分析を行った。 以上の研究によって、2022年度以降に計画している定量的な分析の妥当性を高めるための知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた文献レビューに基づく分析枠組み・方法論を精緻化や、精緻化した分析枠組みを用いた探索的事例分析を実施することができた。文献レビューについてはメタ分析を行うことも計画していたが、十分な数の条件に合う定量研究を収集することができず、記述的な整理を行うことにした。結果に基づいて分析枠組みを精緻化することができたため、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、分析枠組み・方法論を再検討したうえで、情動知能の個人レベルの効果に関する準実験研究を実施する。具体的には、研修機関等の利用者に質問票を配布して、情動知能、成果、媒介変数、調整変数候補を含む個人・職務特性に関する情報を入手する。個人・職務特性は、情動知能が高いグループと低いグループの間で交絡因子のマッチングを行うために利用する。功罪それぞれの経路を特定する因果媒介分析を中心的な分析手法とするが、同分析では限られた変数しか扱うことができないため、並行して複数の媒介・調整要因との関係を構造方程式モデリングや分散分析などの統計的手法を用いて定量的な分析を行う。
|
Research Products
(3 results)