2021 Fiscal Year Research-status Report
起業による地域創生のための人的ネットワーク構築に関する研究
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21K01678
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Research Institution | The University of Fukuchiyama |
Principal Investigator |
亀井 省吾 福知山公立大学, 地域経営学部, 教授 (10868079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 節子 福知山公立大学, 地域経営学部, 教授 (50715141)
板倉 宏昭 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (80335835)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 人的ネットワーク / 外部力と内部力 / つながり / 社会的課題 / 互酬性 / 直接結合 / 関係性の埋め込み |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果として、4本の論文を学会、大学紀要へ投稿を予定している。具体的には、情報社会学会誌と同学会年次研究発表大会へ2本、本務先の福知山公立大学紀要と東京都立産業技術大学院大学紀要へ2本の投稿を行う。交付申請書に記載した「研究の目的」は、社会課題の解決という共通目的の設定下において、都市部と地方における起業家ネットワークの結束プロセスを明らかにすることである。初年度は、福知山市委託事業である「NEXT産業創造プログラム」の実施を通じて、実証研究した。以下、主要論文の具体的内容、意義、重要性について述べる。 「地域における起業の人的ネットワーク構築に関する考察 ーNEXT産業創造プログラム実施事例を通じてー」 本研究は、プログラムに参加した起業家の取り組みの観察ならびに、起業家や関係者へのインタビューなどを通じて実施した。外部力としてのヨソモノが、社会課題解決という目的への共感を梃子として、多様な地域のプレーヤーとネットワークを築く中で、それまでつながりの無かった地域のプレーヤー同士も相互にネットワークを築き結束化し、地域の内部力が強化されるプロセスを明らかにした。 「クラウドファンディングにおける関係性の埋め込みと互酬性 ーNEXT産業創造プログラムPBLの取り組みを通じてー」 本研究は、プログラムのPBLにて実施したクラウドファンディングに参加した起業家の取り組みへの参与観察を通じて実施した。都市部起業家と地域の高校において開発した商品への支援状況の推移から、供給者と消費者双方から他者への広がりを見せる「拡張的互酬性」から生じる信頼は、頻繁で親密なコミュニケーションから創出される「直接結合(cohesion)」を通じて、関係性として埋め込まれ強化されていくことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載した、実証プロジェクトとなる地域起業家養成のための社会人向け「スタートアッププログラム(仮称)」は、福知山市委託事業「NEXT産業創造プログラム」として当該年度スタートした。一方で、当初、都市部起業家とのつながりを想定した研究分担者が主宰するスタートアップ・アクセラレーター研究所(東京都立産業技術大学院大学研究所)と連携した五反田バレー企業群との交流PBLは、コロナ状況の悪化もあり、計画変更を余儀なくされた。しかしながら、本プログラムにおいて、東京をはじめとした都市部の起業家などの参加があり、本研究の目的遂行には支障がなく、かつ、本プログラム受講生であることから、参与観察、インタビューがよりスムーズであり、実証研究が予想外に早く進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実証プロジェクトである福知山市委託事業「NEXT産業創造プログラム」は次年度も認可され、代表研究者が受託事業代表者となったが、当初予定であった3年目の実施については、単年度の自治体予算である関係から現状未だ確定していない。3年目が実施されない場合は、本研究費予算の範囲にて、PBL参加規模や期間の縮小などにより柔軟に対応する必要がある。また、以前としてコロナ状況が悪化する可能性があり、遠隔地である都市部起業家の継続的な参加状況については不安が残る。遠隔方式の採用による都市部起業家の参加を促進することが必要となる。
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Causes of Carryover |
デジタルカメラなど物品日の購入を先延ばししたことや、コロナ禍による対面インタビューが難しい状況のため、旅費、謝金などの使用が予定を下回っている。次年度において、使用を進めていく予定である。
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