2022 Fiscal Year Research-status Report
ミクロ的基礎付けによる制度維持の新しい理論枠組みの探究
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21K01680
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
金 倫廷 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (20611255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 博司 中央学院大学, 商学研究科, 教授 (50152187)
古田 駿輔 早稲田大学, 商学学術院, 助手 (40879673)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アイデンティティ / 制度 / 制度化 / 制度維持 / ミクロ的基礎付け |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、制度維持のメカニズムを、新制度派組織論とアイデンティティ論の観点から明らかにすることを目指し、①アイデンティティの異質性とサブ制度間の摩擦の関係性、②サブ制度間の摩擦による新しい制度への影響、③不安定性を前提とする社会における制度の定着・維持プロセスの3つの研究課題を設定した。 当該年度においては、上述の研究課題①②を中心に、引き続きアイデンディティと制度の関係についての文献を検討しつつ、制度化と個人レベルのアイデンティティの関係に注目したインタビュー調査を実施してきた。そこでわれわれが注目したのは、学術政策に対する各大学の行為であり、上位・中堅・下位という大学グループの行為がサブ制度化していく様子も一部確認した。また、理論モデルの実証の面では、過去20年間の大学データを活用した分析を行ったものの、アイデンティティの異質性とサブ制度の摩擦といった構成概念の操作化の点でまだ多くの課題が残されており、今後さらなる検討が必要と考えられる。 さらに、ミクロ的基礎付けの関連研究の動向を調査していたところ、理論モデルの拡張の可能性が窺えたのは1つの収穫と言える。換言すると、制度はある社会において「ゲームのルール」や「共有された戦略のルール」としての役割を果たすものであり(North, 1990)、法律のような公式的ルールと規範や文化などのような非公式的制約に分けられる。特に政治的および社会的制度が企業の特徴を決定づけるため(Hall & Soskice, 2001)、制度に対する理解がサブ制度の形成とアイデンティティの異質性に大きく影響すると予想される。次年度以降は、こうしたダイナミック・ケイパビリティをはじめとする戦略論の知見を援用した理論モデルと研究手法の再検討も行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、組織フィールドにおける価値観の多様化が進む中、新しい制度の定着と維持に関する理論的枠組みの構築を意図している。その結果として、制度維持におけるアイデンティティの異質性とサブ制度の関係が新しい制度の形成・定着・維持されるプロセスを提示することが期待される。 当初、本研究は理論モデル構築と実証分析の2ステップに分けて研究を進めることとし、令和4~5年は主に実証分析と成果発表を計画していた。実証分析の定量研究の面では多少の試行錯誤をしているものの、定性研究や理論の拡張可能性の面では着実な進捗が見られている。具体的には、実務家を対象にしたインタビューを通じてわれわれの基本モデルに含まれる変数間の関係が定性的に確認されている点、研究対象を学術政策と直接関わる大学組織に限定せず、理論モデルの一般化を踏まえた多様な企業組織にまつわる現象も考慮に入れて調査している点、制度とアイデンティティの関係にダイナミック・ケイパビリティが介入しうるという示唆が得られた点などが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年は、昨年度に引き続き実証研究と成果発表を中心に研究活動を進めていく。すでにイギリス経営学会での研究報告が決定しているが、小規模であっても定期的に研究成果を発表する機会を作るなどして、理論と実証の両面においてより多くのフィードバックが得られるよう心がけたい。また、ダイナミック・ケイパビリティ論を含む理論の拡張可能性についても継続して検討していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は以下の通りである。 ①新型コロナの影響により日本国内外の出張が予定より少なくなったこと ②量的研究の研究手法の追加的検討が必要であることから質問票調査等を延期していること
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