2023 Fiscal Year Annual Research Report
誰とシンジケーションを組むべきか?:社会ネットワーク分析を用いた実証研究
Project/Area Number |
21K01692
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Research Institution | Seisen Jogakuin College |
Principal Investigator |
中島 琢郎 清泉女学院短期大学, その他部局等, 講師 (50813656)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シンジケート投資 / シンジケーション / 投資家ネットワーク / ベンチャーキャピタル / スタートアップ・エコシステム / 社会ネットワーク分析 / ブロックモデル / CONCOR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の狙いは、国内シンジケート投資におけるベンチャーキャピタル(VC)のネットワーク構造を解明すると共に、その構造特性が投資成果に及ぼす影響を明らかにすることである。R5年度は、以下の実証研究を実施した。 (1) R2~R4年度の研究では、同業者間を仲介するハブ(媒介中心性)の地位獲得が、投資件数の増加に有利であることを実証した。しかし、長期間に亘るパネルデータを分析対象とする場合、投資活動歴が浅いVCのデータが分析結果に反映されづらいといった課題があった。そこで本研究では、2014~2019年度のみの期間を対象に5つの中心性尺度を用い、縦断的且つ定量的に解明を試みた。加えて、ハブの地位を獲得した投資家の仲介機能が強化されるのか、検証も試みた。分析の結果、老舗VCのデータを排除しても、媒介中心性の有効性は依然と高いことが判明した。ただし投資家単体で見ると、初期の段階でハブの地位を得ても、その仲介機能は強化されないことが示唆された。 (2) 直接金融市場が未成熟な日本では、シンジケートの組成比率が高い。しかし、その実態は不明確な部分も多く、シンジケーション組成時に形成される関係性、とりわけ結束パターンの共通性が不明である。そこで本研究では、ブロックモデルを用いて投資家ネットワークのイメージ行列と縮減グラフの構築を試みた。2014~2022年度の投資明細データから、7599件のデータセットを作成した。そして、CONCORソフトウェアを用いて隣接行列を作成し、9つのブロックに分割した後、そのブロック構造を分析した。考察の結果、投資家ネットワークはシンジケーションを介した関係数増加に伴い、「中心-周縁」構造へと移行することが示唆された。 上記を含めた研究期間全体を通じて、本研究では、本来競争関係にあるVC同士が誰とシンジケートを組めば互いに経済的便益を享受できるのか、その指針を示した。
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Research Products
(4 results)