2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K01693
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (20268593)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学習志向 / 高業績人的資源管理 / 組織的支援 / 発達的挑戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、個人の学習志向を規定する要因を明らかにすることにある。2021年度は、以下の2つの調査を実施した。第1に、全国の管理栄養士を対象にインターネット調査会社を通じて質問紙調査を実施した。調査データを共分散構造分析によって分析したところ、高業績人的資源管理(HRM)システムが、学習志向を高めていることが明らかになった。この結果は、高業績HRMシステムが、従業員のスキルやモチベーションを通して生産性・創造性・業績を高めることを意図してデザインされているためであると考えられる。第2に、公立病院における管理栄養士を対象に自由記述式の質問紙調査を実施した。質問票では、自身の学習意欲(学習志向)の促進要因および阻害要因について自由に回答するように依頼した。データを質的分析手法によって検討したところ、学習志向の促進要因として、組織内支援(上司・同僚からの評価・支援組織、他職種からの評価・期待、他職種との連携)、挑戦的課題(新規・困難な課題の取り組み)、仕事の成果(仕事上の達成・成果、能力・知識不足の認識)、患者・家族との関わり(患者からの感謝・評価、患者・家族への思い)が抽出され、阻害要因として、組織内支援の問題(組織、上司の理解・評価不足、同僚、他職種との対話・連携不足)、業務負荷の問題(業務量の多さ、身体的・精神的な余裕のなさ)、仕事成果の問題(仕事上の失敗・停滞、患者のネガティブな反応)が抽出された。こうした分析結果は、知覚された組織的支援や発達的挑戦が、学習志向を高める上で重要な働きをすること示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量的な質問紙調査、および自由記述式の質問紙調査を実施することができ、それらの研究成果を2つの論文にまとめ、学内ジャーナル、および書籍に掲載することが予定されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
福祉施設の従業員を対象に量的・質的調査を実施し、高業績人的資源管理システムが学習志向に与える影響をより詳細に検討する予定である。
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