2021 Fiscal Year Research-status Report
Effectiveness of Affective Management Measures in Fostering Social Capital
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21K01697
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅室 博行 東京工業大学, 工学院, 教授 (80251651)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 社会関係資本 / 心理的安全性 / 組織の柔軟性 / 組織文化 / 感情経験 / 信頼 / 共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はパフォーマンス指標としてソーシャル・キャピタルに注目し、アフェクティブ・マネジメントの施策が職場の感情的状態をどう改善し、その結果組織のパフォーマンスとしてのソーシャル・キャピタルの向上に貢献することを実証的に明らかにすることを目的とする。そのための具体的な目的のひとつとして、職場における感情的経験がソーシャル・キャピタルの3つの要因、すなわちインタラクション(ネットワーク)、互酬性、および信頼に対し、どのように関連するかを検証することを掲げている。 本年度はこの目的を達成するために、研究に協力してくれる企業の従業員を対象に質問紙調査を行った。質問紙により職場の感情経験の共有、ソーシャル・キャピタル、心理的安全性、組織の柔軟性、そして組織文化などを測定し、それらがどのように相互に関係しているかを分析した。385人からの回答を得た。その結果職場における感情経験の共有が組織の柔軟性と相関を持つこと、ソーシャル・キャピタルと心理的安全性が感情経験の共有と組織の柔軟性の関係にモデレータとしての役割を果たすこと、そして組織文化の影響が大きく見られることなどを明らかにした。 これらの結果は企業の組織マネージメントの実践上、従業員の感情経験やその共有をおこなう文化が重要な役割を果たすことを示唆しており、職場のマネジメント、特に現場における従業員およびチームの文化をどのように涵養していくかという問題に対して知見を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの感染のため実際の企業の訪問は困難であった。しかしオンラインで協力を依頼した企業の従業員からの協力を得て質問紙調査を実施し結果を得ることができた。 研究成果は既に出ているが、学術誌の論文としての投稿に向けて準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究の具体的な目的の第一である、職場におけるアフェクティブ・マネジメントが職場における感情状態をどのように改善するのか、さらにそれがソーシャル・キャピタルにどのように貢献するのかを明らかにする。具体的にはアフェクティブ・マネジメントで提唱されているどのような施策が従業員の感情経験にどのように影響しうるのか、それが職場の状態を表すさまざまな変数、特にソーシャル・キャピタルをどのように改善しうるのかについての仮説を導出し、それを実証する。さらにそれらの効果を企業の現場で実践的・継続的に検証していくために、ソーシャル・キャピタルなど職場の状態を表す変数を測定する実践的方法についても検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度の研究成果を論文として投稿すべく準備中であるが、投稿が次年度になったために論文投稿料相当の額が次年度使用額となった。
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