2021 Fiscal Year Research-status Report
A Longitudinal Study on Japanese Firm's R&D and New Product Development: Coevolutionary Perspective
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21K01702
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (60286622)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 研究開発 / イノベーション / 業務継続計画 / 継続調査 / オープン・イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究開発に関する調査を行った。707社(上場企業284社,非上場企業467社)に調査票を送付し,202社(上場企業74社,非上場企業128社)から回答を得た。2007年からの15年間(12回の調査)で線形トレンドが有意となったのは時系列で比較可能な323項目中63(前回59)項目であった。これら項目から,「研究開発の高度化」「ユーザーへの評価,対応の低下」「研究開発のオープン化の停滞と限界」「研究開発のインセンティブの変化」「海外でのR&Dの自律化と成果向上」「技術や品質の強化の一方での開発スピードの低下」の傾向が継続していることがわかった。長期的なトレンドは有意ではないものの,「一つのコア技術を複数の製品,市場に展開する。」「自社でコアとなる技術を開発している。」などの値が高くなっており継続した調査によって動向を見極めたい。 2020年に続いて緊急事態への対応,準備状況についても質問した。東日本大震災・福島原発事故時は「原材料の調達」「製品の流通」などサプライチェーンへの影響が大きかったが,緊急事態への対応として「調達先の整備」「生産拠点の整備」など外部との調整は3割程度の企業でしか行われていない。特に「官庁,自治体との情報共有,連絡」は2割程度しか行っていない。緊急事態に対して,「国や自治体の指針よりも厳しい基準で出社制限などを行っている」企業は15%程度にすぎず,70%の企業が「国や自治体の指針が発出されたタイミングで出社制限など」を行っている。日本政府の新型コロナウイルスへの対応は,検査不足や緊急事態宣言の遅さなどの課題が指摘されている。企業は政府の不十分で遅い対策を待つのではなく先を見通した迅速な行動が必要である。企業の意思決定の基準となっている国は,これまでの対策の失敗を認めて改善する必要もある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り研究開発についての調査を実施し、例年通りの回答率が得られた。 具体的な成果としてはまとまっていないが、企業関係データ(2010年)について、社会ネットワーク分析を行い、ノードが数万のデータでも充分に分析できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は製品開発担当者を対象とした調査を行う予定である。継続調査であり調査票やサンプリングなどの方法は確定している。これによって、2007年から通算13回目、16年分のデータが収集できることになる。 既に収集した製品開発、研究開発についての調査結果についてもそれぞれ、ユーザー・イノベーション、オープン・イノベーション、共進化マーケティングといった観点から分析を進めてきたが、データが追加されたことによる変化の有無などを検証する。 企業関係データの2020年時点分を購入し、2010年との比較も行う予定である。
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