2023 Fiscal Year Research-status Report
プラットフォーム企業との関係性が中小企業のイノベーション成果へ及ぼす影響分析
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21K01713
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
河 知延 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (80346759)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | IoT / 中小企業 / イノベーション / プラットフォーム企業 / 技術普及 / 技術移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、IoT技術の普及が遅れている地方の中小企業において、その普及をいかに達成するのかについて明らかにすることを研究の目的としている。特に、地方においてのIoT技術普及の遅れは、それらの技術を支えるベンダー側との接点、知識の共有、協同作業のプロセスが不足しているからではないかと考えることができる。従って、中小企業側のインバウンド型オープンイノベーションの観点から、技術の提供者と中小企業間の関係性に着目し、中小企業に及ぼした影響について分析することを目的としている。 2023年度においては前年度に引き続き、対象となった飯塚市と福岡市において、業種を絞らず中小企業側へのインタビューを多数実施してきた。インタビュー内容を整理した結果、技術提供者との関係を構築することによって、自社のイノベーションへつなげることができた企業はとても稀であり、達成できた中小企業の特徴として、ある程度規模が大きい企業であること、経営者トップが強い危機感や将来展望のどちらかを持っていること、さらに、経営者もしくは従業員の中でIoT技術に精通している人がいること、精通しなくても好きでそれらの技術を通して何かしたいと思っている人がいることが条件になっていることが分かった。 以上のような結果を踏まえて、今後は仮説を立てて検証を行うことによって、それまで中小企業のIoT技術の普及が思うように進まなかった背景の一部を解明することができると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究対象としている地域である飯塚市および福岡市において聞き取り調査を実施しながら、IoT技術導入の現状を把握しているが、初期調査において企業の規模や業種などによってかなりの差があることが明らかとなった。そのために、多くの企業を丹念に調べることでより確実な仮説を設定することが必要であると判断し、聞き取り調査対象の数を広げて実施することに集中した。 その結果、論文の執筆が遅れた点、また、仮説の整理に時間が掛かり、計画通りの実証研究を着手する事ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
企業へのインタビュー調査は順調に進んでおり、今年度においてそれらの結果を整理して仮説を含めた論文を執筆する予定である。遅れていた研究の発表、執筆に集中する。また、仮説を検証するためのアンケート調査を進めて、公表する計画である。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究方法として、企業へのインタビューを多数行ったが、殆ど大学から近距離の企業、および、自宅から近距離の企業であった。地方都市であるために訪問距離が短く、大学の基準では出張経費が発生しない場所であったために、経費を使用することがなかった。また、学会出張においては学内の研究費で十分であったこと、Zoomでの開催も多くなっていたこと、さらに論文の執筆が遅れたことによって、次年度使用額が生じた。 次年度においては、これまでの知見を基に調査範囲を広げて県外の地域や国外の成功事例の調査を行う予定である。それに伴い、国内外における調査出張費が発生する。また、アンケート調査の一部(データ収集と1次集計)の外注化が必要であるために、それらに研究費を使用する予定である。
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