2021 Fiscal Year Research-status Report
個人の支援行動における仕事外の要因とそのマネジメントに関する研究
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21K01714
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
麓 仁美 松山大学, 経営学部, 准教授 (10549299)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 支援行動 / ワーク・ファミリー・コンフリクト / COVID-19 / 職場からの支援 / 仕事と家庭の境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,主に既存研究のレビューと質問票調査によるデータの分析を行い,次の2つの点での研究成果があった。 1つ目は,既存研究のレビューから,本研究が対象としている,支援行動が与える影響の検討を行った。具体的には,職場の上司や同僚から支援を受けることがワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)に与える影響について検討を行った。その結果,①職場からの支援は仕事から家庭へのWFCだけではなく,家庭から仕事へのWFCに対しても影響を与えていること,②職場からの支援がWFCを低減させるというメカニズムには,直接的なものと間接的なものがあること,③メタ分析による研究の振り返りから職場からの支援がWFCを低減させるという,もはや定説となった命題の頑健性が改めて確認されたと同時に,それは全ての支援に当てはまることではないということが確認された。これについては,単著論文を公刊した。 2つ目に,質問票調査によるデータの分析から,COVID-19の流行による働き方や家庭生活の変化とWFCの関係に,企業や上司,同僚からの支援がどのような影響を与えているのかの検討を行った。その結果,COVID-19流行下におけるWFCという問題は,ある程度,職場や個人で担保できるということが明らかにされた。特に,上司や同僚から十分に支援を受けている人は,COVID-19の感染拡大の影響により働き方や家庭生活に変化があったとしても,その影響をかなり軽減することができていた。これは,十分な資源さえ持っていれば,COVID-19という大きな負担を強いられる環境下でも葛藤をあまり感じることなく日々の生活が送られているということを示している。この研究結果により,本研究の対象である支援行動の重要性が改めて確認された。こちらについては,共著書を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,当初予定した通り,支援行動に関する既存研究のレビューを行うことができ,順調に研究が進んだと考えている。既存研究のレビューにより明らかになった発見事実は,公刊論文としてまとめられている。ただ,当初予定していた質問票調査を見据えた予備的なインタビュー調査については,COVID-19の影響もあり,実施することができなかった。この点については,引き続き,調査を実施していく必要がある。また,当初は予定されていなかったものの,COVID-19流行下における支援行動に関する質問票調査のデータ分析を行い,この分析結果については,著書として成果報告することができた。そのため,全体としては,おおむね順調に進展していると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究実施計画として,次の3点を計画している。第1に,支援行動の先行要因に関する既存研究のレビューを行うことである。2021年度の研究から,支援行動がもたらす影響については明らかにされた。次は,支援行動が何によって引き起こされるのかについて,既存研究の整理を行う必要があると考えている。 第2に,本研究が着目している仕事外の要因に関する既存研究のレビューを行う。より具体的には,仕事と家庭の境界や副業,越境学習などの概念を想定している。 第3に,インターネット調査会社を通じて,1000名の就労者に対して,支援行動と仕事外の要因,そしてその調整要因に関する,3波(2週間ごと)の質問票調査を行うことである。そのためには,2021年度に実施することが叶わなかった予備的なインタビュー調査を実施する必要がある。
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Research Products
(2 results)