2022 Fiscal Year Research-status Report
改善活動の製造業から建設業への産業間移転構造の理解
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21K01725
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
村田 康一 日本大学, 生産工学部, 教授 (90580077)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 見える化 / リーンマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は製造業から建設業への改善活動の移転メカニズムを明らかにすることである。特にトヨタ生産方式に代表される経営管理技術の中心的な役割であり、製造システムの性能向上と人材育成の両面において効果を上げている改善活動に焦点をあて、その中においても普及が盛んに行われている見える化技術の製造業から建設業への移転について検討している。この目的に対して、2022年度のテーマは見える化技術の建設業における効率的な利用に関する分析であり、主な実績は以下の2点であった。 1点目は、国際研究グループにおいてワークショップ(Advances in Visual Management Practice and Theory: Current Applications, Future Opportunities and Recommendations For Academia And Industry)を対面とオンラインのハイブリッドにて開催した。その中で、拙研究室における見える化研究のこれまでの経緯と、最近の当該分野における関心事について報告した。各研究者の発表後、グループに分かれてのアクティビティもあり、それぞれの関心について議論を深めることができた。この様子は各種SNSや拙研究室ホームページにおいて紹介された。 2点目は、当該技術に関するこれまでの製造業および建設業のいくつかの事例調査をふまえ、見える化技術に関する知見をテキスト化したことである。本冊子(見える化のテキスト)は、協力企業に配布した。また研究アウトリーチ活動として、拙研究室主催で開催している津田沼見える化塾において利用した。これらの中から、当冊子やそこに含まれている当該技術に対する考え方の有効性と今後の課題について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は製造業から建設業への改善活動の移転メカニズムを明らかにすることである。特にトヨタ生産方式に代表される経営管理技術の中心的な役割であり、製造システムの性能向上と人材育成の両面において効果を上げている改善活動に焦点をあて、その中においても普及が盛んに行われている見える化技術の製造業から建設業への移転について検討している。この目的に対して、令和4年度のテーマは見える化技術の建設業における効率的な利用に関する分析であった。 新型コロナウイルス感染症への対応が進んだことや、これに伴いオンラインでのコミュニケーションが定着したことが今年度は良い方向に働いた。海外でのワークショップへ対面参加や、国際会議へのオンライン参加による効率的な情報収集や意見交換など、研究を進めるためのバリエーションに広がりがみえた。このようなことから、当初予定していた直接経費使用額の約85%の遂行にまで回復することができた。 他方、これまでの知見をテキストにしたことにより、当該技術の調査・分析による基礎を固めることができた。これは、産学問わず、拙研究室の当該技術への立場を説明し、議論を活性するために今後有効であると考える。このようなじっくりとした活動を行えたことは、外部との活動を控えざるを得なかったことが好転した例と言えるであろう。 以上2点から予算消化が回復に向かい、研究の進捗についても大幅な遅れはないことから、現在までの進捗状況をおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度から2023年度の3カ年計画のうち、2023年度は3年目の最終年度になる。本研究の目的は製造業から建設業への改善活動の移転メカニズムを明らかにすることであり、初年度の見える化技術の建設業における効率的な利用に関する分析に続き、当該年度は、産業間における改善成果の技術移転促進に関する要件の整理をテーマにしている。 最終年度にあたるが、見える化技術のデジタル化など最新状況を理解のために現場観察や企業との交流は継続していくことを考える。その上で、初年度および今年度に得られた研究結果をふまえて、製造業と建設業の両産業における当該技術の利用に関わる共通点、及び相違点の検討を行う。産業界や学術界の中での研究協力者とのデスカッションを通して、当該技術を事例とした産業間における改善成果の技術移転促進に関する考察を行う。また、この成果が、これまでの学術的知見の中で、どのように位置づけることができるのか、また今後の産業界にどのように貢献できるのかについて検討していく。 また、これらの成果は、関連する国内学会や国際会議など、また研究アウトリーチ活動やホームページ等を通して、研究者のみならず、社会に向けて広く公表する努力を行う。 なお、新型コロナウイルス感染症による影響は今年度については収束に向かうと想定される。対面イベントへの復帰はもとより、オンラインツール活用によるコミュニケーションの継続、学術文献からの知見整理など、研究方法については柔軟に対応しながら、当初の目的を達成していくことを考える。
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Causes of Carryover |
今年度の予算遂行率は約85%であった。新型コロナウイルス感染症の影響による昨年度未遂行分の消化に努め、あと一息のところで届かなかった。オンラインによる会議等が増え、予算消化が抑えられたことが一要因である。予算における使途の大半が調査や会議に関連するものである。今年度は対面での会議再開の情報も更に増している。このような機会を計画し、昨年度に続き次年度もルールに基づきながら消化を検討する。
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