2022 Fiscal Year Research-status Report
防災マーケティングによる避難行動促進の体系化と有用性
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21K01742
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
江戸 克栄 県立広島大学, 経営管理研究科, 教授 (80318592)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 防災マーケティング / 消費者行動 / 刺激反応パラダイム / 情報処理パラダイム / 断水 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会学や工学では、防災・減災分野のための研究が進められてきたが、マーケティングの分野で、人が「避難する」ことを意思決定としてとらえて研究しているものは少ない。現在の避難行動研究にはマーケティングは導入されておらず、消費者情報処理パラダイムやセグメンテーション研究におけるライフスタイルが十分活用されていない。本研究では、防災・減災においてマーケティングを導入することを試み、それを「防災マーケティング」と命名し、その体系化と有効性の実証的研究を行っていくことが目的である。 令和4年度は、防災・減災分野のセグメンテーション研究(基礎研究フェーズ(2))を行う予定だったが、防災・減災分野において、生活水や飲料水という特定ライフスタイルにおいて防災マーケティング研究が有効であるこということから、この領域における防災マーケティング研究を行った。災害時における生活用水と飲料水を確保することに関する生活者の知識や意識について研究を行うために、定量的調査を行った(令和4年災害や非難に関する意識調査の中で設問を設定)。その調査結果を分析、公表した(広島県環境保全協会招待講演、水道新聞での原稿執筆)。消費者行動と防災マーケティングが広報やコミュニケーションに対して有用であることから、令和4年に断水が一定期間継続した静岡市にヒアリング調査を行い、マーケティング課題を抽出した。次年度は本研究を継続する一方で、令和5年度の目標である東南アジアにおける防災マーケティングの可能性について研究をしていく。令和4年度にはマラヤ大学の災害やリスクに関する記念講演を主催しており、ベトナムやタイでも共同で研究活動をしていく調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に東南アジア諸国での防災マーケティングの研究を行っている。ただ、情報処理パラダイムを用いた概念化や成果が不十分であり、進捗が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に推移しているが、情報処理パラダイムを用いた場合の新しい避難行動の体系化が明らかになっていない。広報活動の有効性だけではなく、そのほかのマーケティング要素も取り入れながら概念化をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスにより行動制限がかかっていたこともあり、対面での学会参加や研究会を行わなかった。定量調査については、予備調査として位置づけてほかのインターネット調査項目合同で行ったために、本調査は行っていない。本年度は本調査をしっかり行っていきたい。また、学会や研究会も積極的に開催することで、知見を深め、論文や著書として世の中に出していくことを検鏡する。
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