2021 Fiscal Year Research-status Report
消費者のサステナブルな価値構造と行動のメカニズムの解明
Project/Area Number |
21K01758
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西尾 チヅル 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 実 東洋大学, 経営学部, 准教授 (00754045)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | サステナブル志向 / 消費者行動 / ライフスタイル / 尺度開発 / Covid-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
国連でSDGsが採択されて以来、環境や社会のサステナビリティを企図したマーケティングが急務となっている。一方で、昨今発生した新型コロナ感染拡大は、人々の生活や企業活動そのものを一新させてしまっており、サステナブルへの考え方そのものを変えてしまっている可能性が高い。本研究は消費者のサステナブルな価値への志向性と行動実態に焦点をあて、サステナブルな価値構造とサステナブル行動のメカニズムを解明することを目的とする。具体的には、課題1:消費者のサステナブルな価値の構成要素とその特徴、課題2:サステナブル行動の規定要因、課題3:コーズ型プロモーションの効果の解明の3つの課題について取り組む。 本年度は課題1に取り組んだ。価値観についてはすでに多様な尺度が開発されている(例えばRokeach 1973, Kahle 1983等)。しかし多くの尺度は一時点の限られた対象でしか検証されておらず、再現性や信頼性の面で課題がある。すでに筆者らはサステナブルな文化や社会を牽引しているカルチュラル・クリエイティブを対象とした価値尺度を2006年に開発しており、2006年以降2019年までの間に5回ほど本尺度による消費者調査を実施している。しかし、地球環境問題の深刻化や新型コロナ感染拡大という社会変化の中でも、本尺度が消費者のサステナブルな価値を的確に捕捉できるかを文献研究を中心に検討した。具体的には、他の価値観尺度や消費者のコロナ禍における意識や行動の変化に関するさまざまな調査・研究をレビューし、筆者らが考えるサステナブルな概念との等価性や追加すべき視点や項目等について検討すると共に、これまでに捕捉した5時点間のデータを再分析し、尺度の精緻化を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連する先行研究のレビューを行っただけでなく、筆者らが2006年から2019年の間で実施した調査データを再解析し、サステナブル尺度の概念的等価性や尺度の信頼性などを検討した。その結果に基づいて、サステナブル尺度の改訂版を作成し、予備調査を2021年9月に実施した。なお、来年度以降に大規模消費者サンプルによる本調査を予定しており、そのために多額の調査費用が必要なため、今回の予備調査は筆者らの別の調査に相乗りする形で実施し、予算の節約を行った。このように課題1の目的となる尺度開発についてはおおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題1~3の遂行にあたっては、いずれも大規模消費者調査が必要である。消費者調査の予算が限られているため、当初は、年度ごとに一つずつ課題を遂行する計画であったが、今後は3つの課題を同時並行的に検討し、大規模消費者調査はまとめて実施するように計画を変更する。
|
Causes of Carryover |
本研究で計画している3つの課題の遂行にあたっては、いずれも大規模消費者調査が必要である。しかし、消費者調査の予算が限られているため、3つの課題を同時並行的に遂行し、消費者調査は来年度以降にまとめて実施する計画に変更した。そのため、本年度、サステナブル尺度開発に向けた予備調査は、筆者らの別の予算を用いて実施した調査の中で、相乗りする形で実施し、本年度科研費予算の節約を図った。
|
Research Products
(10 results)