2021 Fiscal Year Research-status Report
Children's Information Processing and Parental Mediation on Embedded Advertising
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21K01762
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
中野 香織 駒澤大学, 経営学部, 教授 (20434269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 正毅 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (40615358)
松本 大吾 千葉商科大学, サービス創造学部, 教授 (60434271)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども / 広告 / YouTube / 動画 / キッズユーチューバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、企業・子ども・親にとって最適なコミュニケーション方法を導くために、①子どもは埋め込み型広告をどのように情報処理しているのか、②親は埋め込み型広告をどう認識しているのか、また親の介入行動は子どもの情報処理にどう影響するのか、を明らかにすることである。今年度は、親に対する調査データの分析と、先行研究のレビューを行った。 (1)調査データの分析 2021年3月に子どものYouTube視聴実態、および子どもの動画視聴に対する親の態度を把握するために調査を行い、本調査のデータに関する分析を実施した。当該調査は小学2年生の子どもをもつ親400名を対象としている。埋め込み型広告の一種である開封動画「おもちゃ紹介動画」とキッズユーチューバーによる動画を調査対象とした。その結果、子どもの視聴実態については、子どもの約8割がYouTubeを視聴していること、視聴時間は1日あたり1時間未満が多いこと、おもちゃ紹介動画とキッズユーチューバーによる動画は子どもの半数程度が視聴していることがわかった。 子どものYouTube視聴に対する親の態度については、子どもの視聴時間の程度によって親を分類して分析した。子どものYouTube視聴について、高視聴群の親は低視聴群の親に比べて好意的な評価をしつつ、同時に視聴への懸念も合わせもっていることが発見できた。おもちゃ紹介動画とキッズユーチューバーに対する捉え方も明らかになった。 (2)先行研究の整理 広告リテラシーの先行研究に関するレビューを行った。広告リテラシーは、その程度によって子どもの情報処理方法や親の介入行動が変わる可能性があるため、重要な概念である。レビューにおいては、広告リテラシーの概念を整理し、基盤となる理論を明示し、子どもに対する広告リテラシー研究や広告リテラシー教育の研究を概観した。最後に今後の研究課題を提示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は本研究の初年度であるため、子どものYouTube視聴と親の関与状況の実態を把握し、先行研究を整理する段階であった。計画どおり、第1回調査データの分析および広告リテラシーに関する先行研究のレビューを行った。加えて、それらの成果を踏まえた第2回調査を実施した。研究成果は2本の論文として発表した。 第1回調査は、子どものYouTube視聴実態、および子どものYouTube視聴に対する親の態度を把握するためのものである。小学2年生の子どもをもつ親400名を対象に、インターネット上の定量調査と、自由記述データを用いたテキストマイニングを行った。子どもについては、どのくらいYouTubeを視聴しているのか、開封動画を見ているのかという視聴実態を、親については子どものYouTube視聴をどう思っているのか、親の属性によって子どものYouTube視聴の捉え方がどう異なるのか、を把握することが目的であった。第1回調査の分析から得られた発見をもとに、第2回調査を行った。親のYouTubeに対する意識構造の違いを明らかにすることが目的である。第2回調査は、現在分析中である。特に、子供の視聴実態と親の態度の違いに注目し、各種動画に対する態度を検討している。 先行研究については、広告リテラシーに関するレビューを行った。広告リテラシーは、その程度によって子どもの情報処理方法や親の介入行動が変わる可能性があるため、重要な概念である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の前半では、2021年度に実施した第2回調査データを分析することに注力する。第1回調査との連続性を意識して調査設計をしているため、第1回調査の結果を踏まえて検討を進める。最終的に、第1回調査、第2回調査を通じて得られる知見と課題をまとめる。第2回調査の分析作業と並行して、子どもを対象にした調査方法に関する先行研究、および親の介入行動に関する先行研究を幅広くレビューする。 2022年度の後半では、調査から得られた知見や課題、レビューから得られた知見に基づき、子どもと親を対象としたインタビュー調査を行うことを検討する。ただし、予算の関係上、十分な調査対象者を得られない場合は、それに代替する質的データの収集を検討する。2022年度前半における分析作業およびレビューについては、学会発表および論文発表を通じて、その成果の報告を行う。
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Causes of Carryover |
子どもと親を対象としたインタビュー調査は当初、2021年度に実施する予定でいたが、テキストデータ収集を目的とした定性調査(第2回調査)を先んじて実施することが研究上必要だと考えるに至った。結果として、インタビュー調査よりも使用額が抑えられる結果となった。 2021年度に使用しなかった予算については、2022年度に実施する調査(インタビュー調査か、それに代替する質的データの収集)において使用する予定である。その他に、成果報告を実施する際の学会参加費、研究上必要な消耗品、書籍購入費、印刷費などの支出を予定している。
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Research Products
(2 results)