2021 Fiscal Year Research-status Report
コロナ禍におけるトラック運転者の労働環境に配慮したロジスティクスの研究
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21K01766
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 邦成 日本大学, 生産工学部, 教授 (20440448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生島 義英 長岡大学, 経済経営学部, 准教授 (00844028)
石原 良晃 大島商船高等専門学校, 情報工学科, 教授 (60232336)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロジスティクス / コロナ禍 / トラック運転者 |
Outline of Annual Research Achievements |
トラック運送業界ではコロナ禍で宅配需要などが増加し,トラック運転者不足がこれまで以上に深刻化し, 運行効率化が喫緊の課題となっている。そうしたなか, これまでの研究で帰り荷確保による主要な輸配送領域の物流KPI(積載率,実車率,実働率)の向上,さらには中継輸送の効果的な活用が効率的な運行管理システムの構築に寄与することが明らかになっている。 本研究課題の核心は,「先行研究を踏まえたうえで,コロナ禍以降に進むDXの浸透を鑑み,いかにロジスティクスのプラットフォームを強化し,省人化の推進により人材不足を補っていくか」ということになる。コロナ禍の発生により,ロジスティクス領域においても, 省人化を念頭に置いたDXの普及に拍車がかかりつつある。そこで急速に普及してきているAIによる機械学習を導入し,輸配送管理システム(TMS)を物流センターの入出荷バース管理システム,及びトラック運行管理スケジューリングに連動させていくことで,省人化を徹底させ,トラック運転者などの人材不足を解消していくことにつなげる必要がある。
以上を踏まえ,コロナ禍以降の荷動きを踏まえたうえで,積載率,実車率,実働率の定義の見直し及び当該指標の可視化の効果,並びにトラック運行管理システムの活用に当たっての効率的な帰り荷の確保にあたっての課題を明らかにした。 さらに DX(デジタルトランスフォーメーション)を促進し, 運行スケジューリングの最適化を行うことでトラック運転者の労働環境を改善すれば, 運行効率の向上をより一層推進できるのではないかという仮説を構築した。 トラック貨物の運行システムにおける改善策の研究を2段階に分けて行い, AIによる運行管理システムの導入とそれに伴う拠点整備についてのシミュレーションの結果を踏まえて令和4年度には輸送先における荷積み,荷卸しの作業時間の改善策とその効果についてのシミュレーションによる数値分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物流センターにおける手待ち及び荷待ち時間の問題について,作業時間を短縮する具体的な改善案としてパレット単位での荷役の全面導入を予定通り検討した。 AIにより最適化された運行スケジューリングに基づいた効率的な運行システムをロジスティクスの枠組みの中で捉え効果的な導入,及び活用の方策を予定通り明らかにした。 予備データとして,研究代表者, 並びに分担者は関連学会において既に多くの実績を残しているが本年度については国内学会では日本ロジスティクスシステム学会, 日本情報ディレクトリ学会, 日本物流学会などでの研究活動を進め,国外学会では,International Federation on Logistics and SCM Systems(IFLS)で研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究動向を踏まえて,本年度ではAIの導入でより緻密に構築される運行管理システムの構築により新たな価値を創造を目指し,これまで別の研究分野として認識されてきた輸配送経路適正化問題と物流センターにおける荷捌き効率化問題を統合し,より体系的な理解を目指す研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ禍により学会開催がオンラインによるものが多く,予定していた必要経費が掛からなかったので,未使用額が生じた。 出張費用などを2022年度に繰り越し使用することとする。
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