2022 Fiscal Year Research-status Report
Developing a comprehensive model of consumer loyalty and engagement
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21K01767
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
新倉 貴士 法政大学, 経営学部, 教授 (20278774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 彰宏 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (10634272)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロイヤルティ / エンゲージメント / コミュニケーション / 消費者情報処理 / プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績の概要は、以下の4点に整理することができる。 ①ブランド研究におけるロイヤルティ概念についての既存研究レビューを行った。当初は行動面からロイヤルティを捉え、確率的ブランド選択モデルの開発が隆盛をきわめるが、これだけでは態度面でのロイヤルティが把握できないため、現在では消費者知識に反映される記憶痕跡からブランドのロイヤルティを捉える方向に進展してきたことが確認された。 ②実際の消費行動とロイヤルティ概念についての探索的な定量調査を実施した。具体的には、銭湯の利用行動とロイヤルティの関係であり、上記の内容を踏まえて、ロイヤルティを行動的側面と心理的側面から調査した。「常連」とされる行動面でのロイヤルティの高い消費者を「継続者」、低い消費者を「中止者」として捉え、それぞれの消費者を比較することにより様々な相違点を浮き彫りにして、継続的に銭湯を利用していた消費者が、継続を中止してしまうという行動変容がなぜ生じてしまうのかという要因を検討した。また、両者の比較を通じて、それぞれの消費者がどのような情報を求めているかを分析した。 ③前年度から継続した企業ヒアリングを重ねながら、消費者と企業との間に介在するオープンなコミュニケーション・プラットフォームを取り上げ、こうしたプラットフォームにおけるロイヤルティとエンゲージメントの関係や機能について考察を行った。特にコミュニケーション対象となる課題について、消費者のもつスキーマの発達/適応の度合いとロイヤルティの強度、消費者のソーシャルドミナンス(支配力/自由度)の度合いとロイヤルティの強度との関係について考察した。 ④3年目以降の具体的な研究の詳細を計画した点である。3年目以降は、ロイヤルティとエンゲージメントの形成プロセスとバランスを把握しながら、両者を統合する包括的モデルの開発を行うために、定性調査と定量調査を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、文献探索を踏まえながら企業ヒアリングを順調に進め、さらに探索的な定量調査も実施できたことにより、ロイヤルティとエンゲージメントの両概念を統合する包括的モデルの開発の前段階について詰めることができた。デジタル化の進展する現在のマーケティング環境を念頭に置きながら、部分的ではあるが探索的な定量調査を実施することができ、両概念の統合的な仮説モデルが少しずつ明らかになってきた点は、本研究2年目の研究上の大きな収穫として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にしたがい3年目では、大規模な定量調査を行う予定である。2年目に部分的な定量調査を行った実績を踏まえ、また実施できなかった定性調査を実施しながら、いくつかの対象を選定して、ロイヤルティとエンゲージメントの形成プロセスとバランスについて検討していくなかで、両社を統合する包括的モデルの開発と検証を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)前年度に引き続き、予定していた文献探索については、図書購入をできるだけ事後に回し、経費のかからない論文のダウンロードで対応したためである。また、予定していた企業ヒアリングについては、現場の企業訪問による出張旅費を準備していたが、新型コロナウィルスの影響もありオンラインで代替できたため、こうしたヒアリングに伴う経費が不要となったためである。さらに、予定していた定性調査に代替して、先取り的に探索的な定量調査を行うこととした。したがって、これらに関連して予定していた使用金額が次年度に繰り越された。また、今後実施する予定の定性調査と定量調査の実施費用について、対象の複数候補選定を十分に考慮する必要があり、不透明な部分が予想されるため、できる限り使用額を抑えるように努めたためである。 (使用計画)3年目に実施する予定の定性調査を行うことにより消化するとともに、3年目以降に予定している定量調査のために使用する予定である。
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