2021 Fiscal Year Research-status Report
Implications of the corporate cultural antecedents on IMC capability and business performance
Project/Area Number |
21K01773
|
Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
姜 京守 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30757985)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | IMC Capability / Corporate Culture / Campaign Performance / Brand Performance / Customer performance / Financial performance |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、広告分野における中心的課題であるIMCケイパビリティ形成において、組織文化がどのような影響を及ぼすのかを理論的かつ実証的に解明し、実務への応用性の向上を図るべく、議論を進めている。2021年度は、主に以下の点について、研究を進めた。 第1に、全社的なIMC(firm-wide IMC)プロセスにおける組織文化の果たす役割を詳細に検討するための文献レビューによる先行研究の整理である。全社的なIMCの先行要因として、クラン文化(Clan)、アドホクラシー文化(Adhocracy)、ヒエラルキー文化(Hierarchy)、マーケット文化(Market)といった組織文化の下位次元に注目し、各概念の意味定義と概念間の関係について先行研究を整理した。 第2に、全社的なIMC概念の構成次元(firm-wide IMC scale)に注目した議論の進展である。2021年度は、特に、IMCの多次元尺度に注目した。視聴覚要素の一貫性(message consistency)に加えて、相互作用性(interactivity)、ステークホルダー中心の戦略志向(stakeholder-centred strategic focus)、組織的連携(organizational alignment)を重視する全社的なIMCの多次元尺度について検討した。 第3に、IMCの成果要因の理論的拡張を試みた点である。マーコムキャンペーン成果(campaign performance)に限らず、顧客成果(customer performance)、ブランド成果(brand performance)、財務的成果(financial performance)など、IMCの成果を包括的に捉え、全社的なIMCとの関係について理論的検討を行った。 以上の理論的検討をもとに、ホリスティック観点からIMCプロセスを描写した包括的な概念モデルを作成し、2022年度以降に検討を進める仮説を導出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、全体として概ね順調に推移している。特に、文献サーベイについては、当初計画以上の進展が得られている。当初計画では、2022年度から仮説の導出や調査を進める予定であったが、研究の準備段階から複数のインタビュー調査を実施したこともあり、2021年度の後半から仮説を導出することができた。また、関連する概念の文献レビューも順調に進んでいることから、一定程度、知見の蓄積は進んでいると考えている。2022年度以降、文献レビューの範囲を広げたり、IMCについて豊富な知見や実践経験を有するブランドマネージャーを対象としたインタビュー調査を実施することで、着実な研究進展を図りたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後においては、2021年度までに得られた研究知見の深化と応用を目指していく。 第1の方向性は、組織文化の下位次元とIMCの下位次元との関係に注目した議論の進展である。2021年度に行った先行研究の整理等から、組織文化が全社的なIMCにもたらす影響の理論的背景に関する知見を深めることができている。本研究では、先行研究の中でも、相反した結論を得ている議論に注目し、これらの調整変数などを明らかにすることで、新たな知見を導いていく予定である。 第2の方向性は、実務家における全社的IMCに対する意識や志向性についての再検討である。これまで関連概念の先行研究レビューを進めながら知見を蓄積してきている。2022年度においては、実務家を対象とした定性調査を実施すると同時に、2023年度の定量的な調査に向けた準備を着実に進めたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
理由:新型コロナウイルス感染症の影響により、国内学会および国際学会等での報告には至っていない。そのため、必要となる旅費等の費用が計上されていない点である。 次年度の使用計画としては、構成概念の尺度や質問項目の精査を目指し、日本の企業を対象にインタビュー調査を実施することにある。具体的には、国内外の学会において研究成果の発表を行うための学会参加費および旅費と、実務家を対象にインタビュー調査の実施費用(旅費、謝礼)を中心に、使用する計画である。
|