2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K01785
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
石井 孝和 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (80757344)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 財務会計 / 企業結合 / 減損会計 / 注記情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有価証券報告書の財務諸表注記事項において開示される記述情報の特性がどのような要因によって決定付けられ、また、その特性の違いがどのような経済的帰結をもたらすかについて調査することを目的としている。 令和3年度は、関連する文献のレビュー及びデータの整理を中心に取り組んだ。文献レビューについては、MD&A情報等を対象とした有価証券報告書の記述情報に関連した研究のみならず、アナリストレポートやCSR報告書等を対象としてテキストマイニングの手法を用いて行われた研究についても含めて、幅広く最新の研究動向に関して整理を行った。記述情報の有用性については、株式所有構造や企業のガバナンス構造が個別企業における注記内容の開示水準に影響を与えているかについて検証している研究のほか、注記内容の開示水準が企業の株主資本コストに影響を与えていることを示す研究も見受けられた。また、投資家保護水準の程度や国内株式市場の規模のように開示規定への準拠度を国ごとに調査する研究も行われていた。したがって、いまだ研究の蓄積が多くない日本企業を対象とした研究においても、注記情報の有用性や開示水準の決定要因について実証的な検証を行うことの意義は大きいとみられ、有益なレビューとなった。データ整理については、有価証券報告書より、注記事項における記述情報を手収集により入手した。収集した記述データについてはデータベース化し整理することによって、次年度以降に実施する実証研究の基礎固めを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、文献レビュー及びデータの整理を行った。当初予定していた文献レビューをまとめた論文を公表するには至らなかったものの、近年の研究動向について整理することができたことは非常に有意義であった。また、データの整理については、注記事項データを各企業の有価証券報告書から手収集したことで多くの時間を費やす結果とはなったが、概ね予定通りにデータの整理をすることができた。これらを踏まえて、現在まで本研究課題はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、収集した企業結合関係注記における記述情報をもとに、主に企業結合が行われた理由についての記述内容の特性や、その特性ごとの経済的帰結について実証的な検証を行う。研究成果については、各種学会や研究会において報告を行うことによって精緻化に努め、研究論文としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
主に財務データ及び株価データの使用・購入を次年度に繰り延べたことにより次年度使用額が生じた。この金額については、翌年度分として請求した助成金と合わせて、次年度におけるこれらデータへの購入金額に充てる予定である。
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