2022 Fiscal Year Research-status Report
サステナビリティ経営のためのマネジメントコントロールシステムの究明
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21K01799
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
東田 明 名城大学, 経営学部, 教授 (50434866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 宰弘 群馬大学, 情報学部, 准教授 (00803769)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エココントロール / パラドックス / 価値システム / マネジメントコントロールシステム / 環境経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は質問票調査の分析を進め,3つの学会報告を行った。 (1)「競争的環境戦略の遂行におけるエココントロールの活用が企業に与える影響ーリソース・ベースト・ビューを分析視覚にしてー」 この報告では,環境戦略,エココントロール,組織ケイパビリティ,環境パフォーマンスの関係を分析した。環境s根略の遂行を支援するエココントロールの活用は,組織ケイパビリティを強化し,環境パフォーマンスを向上させるメカニズムを明らかにした。 (2)「テンションを考慮した環境マネジメントコントロールシステムの構築 」 環境経営に取り組む上で,環境と経済の両立が注目されてきたが,実際に環境経営に長期的かつ戦略的に取り組むと,実際にはさまざまなパラドックスに直面する。そうしたパラドックスの認識がエココントロール,環境パフォーマンスに与える影響を分析した。マネジメントコントロールを価値観の共有,診断的コントロール,インタラクティブコントロールの3つに分けて分析を行ったところ,パラドックを認識する企業では,価値観の共有とインタラクティブコントロールを通じて環境パフォーマンスに有意な影響を与えることがわかった。 (3)「制度的・経済的要因がエココントロールに与える影響」 エココントロールの構築に影響すると考えられる制度的要因と経済的要因がエココントロールとそれを支える環境情報システムに与える影響を分析した。その結果,制度的・経済的要因,両方ともがパッケージとしてのエココントロールの活用に正の影響を与えること,そして制度的・経済的要因は価値システムを通じて,間接的に環境情報システムに影響を与えるとともに,環境情報システム,診断型・双方向コントロールシステムに直接に影響を与えるとの結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトの目的は,サステナビリティ戦略遂行において利益志向もしくは正統性志向という戦略的志向の違いとそれに起因するパラドックス,サステナビリティ・マネジメントコントロールシステムの関係を明らかにすることである。質問表調査の結果から,環境経営のためのマネジメントコントールであるエココントロールについて,日本企業の現状をリソース・ベースト・ビューの視点から明らかにした。また,パラドックスに対する認識が価値観の共有とインタラクティブコントロールを通じて環境パフォーマンスに有意な影響を与えることを示すことができた。これらの結果は,研究目的を果たすものであり,また今後インタビュー調査を用いてさらに詳細に企業のサステナビリティ・マネジメントコントロールシステムを調査する上で重要な一歩となる。
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Strategy for Future Research Activity |
質問表調査の分析結果に基づいて,インタビュー調査を用いて個別企業の詳細な調査を行う。インタビュー対象企業は,質問票調査回答企業のうち,インタビューに応じる意思を表明した企業を対象として行う。インタビューでの質問項目は,環境経営に取り組む上で遭遇すると考えられるパラドックスの状況を想定して行い,パラドックスの認識とそれに対する対応がマネジメントコントロールシステムの要素である価値システムやインタラクティブコントロールにどのように影響しているかを調べる。
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Causes of Carryover |
差額が生じている要因のひとつは,インタビューデータの分析に用いるソフトの購入を2023度に延期したことがある。インタビュー調査の進捗が少し遅れた関係でそのような対応となった。また,コロナ禍で海外学会が中止や延期になったことも要因である。これに関連して,研究結果を海外ジャーナルに投稿することを計画していたが,その計画が遅れている。2022年度の学会報告内容を海外ジャーナルに投稿できるように取り組んでおり,英文校正などの費用として使う予定である。
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Research Products
(3 results)