2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K01805
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 史彦 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10329691)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 会計発生高 / 流動会計発生高 / 利益の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度においては、文献サーベイを中心としつつ、会計発生高に係る指標を用いた検証を進めた。サーベイの成果については現在とりまとめているが、会計発生高の算定方法は分析に大きな影響を及ぼす可能性がある点について把握した。 会計発生高に係る指標を用いた検証では、複数期間にわたる利益マネジメントや会計情報(利益)の質の傾向を把握する会計発生高を用いた指標の妥当性について検討した。会計発生高は一定期間で反転する特性があることから、そうした反転効果を考慮することが必要となる。本研究では、先行研究をふまえ、流動会計発生高の時系列の標準偏差を適用する手法について考察を進めた。 この考察を適用した研究成果を、2022年8月の日本会計研究学会第81回大会 統一論題報告において「会計情報の質に対する影響要因の多様性と変化」として報告した(その後『會計』 203巻第1号に掲載)。そこでは、日本の上場・一般事業会社の平均的な会計情報の質の時系列的な傾向を明らかにすることを目的としたが、企業ごとの5年間の流動会計発生高の標準偏差を算定することで、反転効果を考慮した会計情報の質に係る指標を得た上で、1994年から2019年までの傾向を観察した。その結果、会計情報の質は1994年から1999年までは高かったものの、2000年から2010年までの期間で悪化していること、さらに、2010年度以降は改善傾向にあることが示唆された。本研究は、厳密なイベントスタディではないことから、その背景の解明に至っていないが、会計発生高を用いた研究の新たな可能性を示すことができたと評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究のとりまとめについて、予想外に文献が多かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
会計発生高に係る近年の研究を取りまとめ、会計発生高の定義に係る問題、会計発生高の「正常」部分の推定に係る問題について取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
分析にあたって必要となるデータベースについて2022年度において購入を見送り、2023年度に購入することとしたことと、当初参加を計画していた学会がオンラインとなり旅費が発生しなかったため。
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