2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K01805
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 史彦 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10329691)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 会計発生高 / 銀行休業日 / 異常会計発生高 / 利益マネジメント / 会計情報の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、会計発生高によって推定される異常会計発生高における過大推定の問題に取り組んだ。異常会計発生高は、利益マネジメント(earnings management)、会計情報の質の評価等の代理変数として広く用いられており、過大に推定されることは、関連する研究の信頼性を損なうこととなる。これまでにサーベイを通じて、会計発生高の算定方法に係る問題と会計発生高の推定モデルの設定に係る問題があると整理した。そこで、この枠組みに対応する分析を実施したが、首尾一貫した結果が得られなかった。しかしながら分析のプロセスで、特定の年度において異常会計発生高が過大に推定される傾向を把握し、それが、3月決算が休日となる年度において観察される傾向にあることを見出したことから、決算日が銀行休業日となる場合に生じる会計処理が異常会計発生高の過大計上をもたらすと予想した。 こうした経緯をふまえ、決算日が銀行休業日となることが会計数値に及ぼす影響の解明を試みた。諸制度の概観、事例、数値例の分析を通じて、決算日が銀行休業日なった場合、同日が決済日となる債権・債務の処理方法として、決済日処理と決算日処理が代替的に選択されること、そして、決済日処理が選択された場合、貸借対照表の債権・債務項目の残高、さらにその差額によって計算される営業活動によるキャッシュ・フローの金額が影響を受けることで、会計発生高が平日とは異なる金額で計上されることを確認した。さらに、有価証券報告書の注記の分析およびアーカイバル・データを用いた検証の結果、営業活動によるキャッシュ・フローに依拠した利益マネジメントおよび利益の質に関する指標について、銀行休業日の会計処理に帰する過大推定が生じる可能性があることを示した。こうした一連の研究をディスカッションペーパーとして取りまとめ、公表しており、現在、査読誌への投稿の準備中にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検証結果が当初の予定とは異なることとなり、新たな枠組みでの分析に切り替えたため、研究計画の遂行が、やや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ディスカッションペーパーとして公表している「決算日が銀行休業日となることが会計数値に及ぼす影響の考察」について、査読誌に投稿するとともに、この間進めてきた、分析を取りまとめることで、研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会報告について,出席(報告)ができなかったことから,次年度使用額が生じた,
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Research Products
(1 results)