2021 Fiscal Year Research-status Report
Brain Experiment Analysis of Accounting Conservatism
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21K01812
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山地 秀俊 神戸大学, 経営学研究科, 経営学研究科研究員 (40127410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅敏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70186899)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保守主義 / ニューロアカウンティング / fMRI / 会計規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
会計制度で独特の特徴を有する保守主義は、かつては利益操作の元凶として批判されてきたが、20世紀末以後、当該特徴を持った費用あるいは収益の数値は、追加的情報を含有しているとして積極的評価を受けるようになった。そうした保守主義に対する新たな積極評価の源は、アメリカ人研究者バス・ウェイマイヤ(S.Basu and G.Waymire)の、脳神経科学の成果を援用したニューロアカウンティングの一連の論文である。その要旨は、「保守主義という人間の損失と報酬に関する特徴は、各々が脳内の別の部位で認識され、しかも損失に対して人間はより敏感に強く反応するという脳の認知的特徴から来ている」という主張である。この脳科学的知見に沿って、他者を意識することなく、経営者が強い損失を感じて計上した会計情報は、株主の予測を超える情報を含有しているという実証研究が多く出されることになる。 それに対して我々は第三者が導出される会計情報を利用するという社会環境での会計測定か社会環境に関係なく人間本来が持っている特徴かは、両環境下で測定された会計数値間で容易に区別がつかないので、脳実験的に得られた両環境下での脳内の反応の差異によって両測定の特徴的差異を見出そうと考えた。 今回、予備的な実験で、場合によってはある特徴を持った脳構造の人間は、他の者よりも早くに利益を報告したいという傾向を持っていることが知れたので、それを手掛かりにfMRI実験で、脳のどの部位が関与して二つの保守主義を区別しているか(していないか)を見分けたいと考える。本年は、その一年目として予備実験を行い、アメリカ会計学界におけるニューロアカウンティングの研究動向と課題をサーベイした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来ならば、脳実験結果の解析に時間を要するので、本年度中に脳実験を終える予定であったが、コロナ禍で思うような行動がとれずに、予備実験と文献のサーベイに徹して、来るべき実験に備えた。
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Strategy for Future Research Activity |
会計学の課題を脳実験の課題に落とし込んで脳実験刺激プログラムを作成して、fMRI実験を行いたい。
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Causes of Carryover |
1年目に行う予定だった脳実験をコロナ禍で行うことができなかった。今年以降速やかに実験を実施して、獲得した予算を遂行したい。
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