2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K01813
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清水 泰洋 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80324903)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 会計史 / 会計記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,過去から現在に至る間に,会計がいかに変化してきたかを技術(テクノロジー)の側面から検討することを目的としている。ここでテクノロジーとは,会計にとどまらない技術やその成果としての人工物を意味する。会計は,新たな人工物を用いることにより効率化され,また,会計技術は時に別の新たな人工物によって発展する。 今年度は,前年度に引き続きテクノロジーの適用対象である帳簿について検討をすすめた。帳簿には,会計的事実をもれなく記録し,後日の参照に備えるという義務が課せられるが,そのために過大なコストをかけることは望ましくない。そのため,記帳の省力化が図られることとなる。この省力化の過程は,個人によるものと,組織的なものとに分類され,それぞれの実施について検討を行っている。個人での記録については,同一内容の記録の定型化や,文言の省略が注目される。他方,組織的なものとしては,帳簿組織の変更が挙げられる。 また,テクノロジーの進展を示す事例として商業雑誌に含まれる新製品広告に注目して資料収集を進めた。帳簿への記録が手書きによって行われていた時代において,同一内容の記録を複数箇所に行う手間は,記帳のコストに反映される。そのため,様々な場面で複製技術が用いられる。複製技術は,他の会計技術に比べ,大規模な装置の導入が不要な場合も多く,商業誌で取り上げられる機会も多いことが判明している。 研究計画には直接的には取り上げていないが,テクノロジーに関係するものとして,情報技術を利用した会計教育の実践についても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在資料の収集を進めている最中であり,具体的な研究成果として,公刊物が存在しない状況である。聞き取り調査についての協力を十分に得られていない状況もあり,研究計画の方針を一部変更したため,進捗は遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
特に中小企業についての会計記録をデバイス面から支えた企業である業者について,資料の収集と並行してその内容の検討実施する。また,日本に限らず,英語圏での業界紙(Book-keeper誌等)の探索を進める予定である。海外においては,会計機(accounting machine)等の機械も広告に含まれており,会計の機械化との関連性についても調査を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響もあり,聞き取り調査について実施することができなかった。そのため,関連する支出予定額が発生しなかった。研究計画の進展にもよるが,聞き取り調査が可能になれば,関連する経費を支出し,また,それが難しい場合には,商業誌に関連する資料の探索・収集に支出を行う計画である。
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