2023 Fiscal Year Annual Research Report
新型コロナ支援融資を受けた中小企業のデフォルトリスクに関する理論的・実態的分析
Project/Area Number |
21K01830
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
櫛部 幸子 大阪学院大学, 経営学部, 准教授 (00767056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗田 健一 鹿児島県立短期大学, その他部局等【商経学科】, 教授 (60413704)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中小企業支援 / デフォルト解決策 / コロナ禍 / アフターコロナ / 非財務情報の活用の重要性 / 資金繰り情報の活用の重要性 / 信用保証協会 / 会計情報の活用の重要性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,コロナ禍の中小企業の融資支援について,実態分析に基づき問題点を析出するとともに,会計情報の重要性を明らかにし,アフターコロナのデフォルトに対する会計情報を用いた解決策の検討・提案である。 1年目は,鹿児島県の中小企業家同友会を対象にアンケート調査をし,金融支援の利用状況と資金繰り,会計情報の必要性について検討した。信用保証協会や金融機関へのヒアリングを通じて,過去のクライシス時の支援策とデフォルト回避策を分析し,クライシス時の金融支援実行に必要となる会計情報と中小企業へ金融支援を行う際の申請基準を検討した。研究成果は,複数の学会で報告した。 2年目は,前年度の研究結果を裏付けるため,金融支援時における会計情報の果たす役割の重要性について精査し,特にキャッシュ・フロー計算書の作成とローカルベンチマークの活用の重要性を強調した。これらの研究成果は,中小企業会計学会等で報告し,学術論文を執筆した。これにより,クライシス下での信用保証協会の役割や中小企業の資金情報作成に関する知見を提供した。 3年目は,税理士の支援が中小企業の資金調達と返済にどのように影響を与えるかを明らかにするため,TKC九州会を中心にアンケート調査を行った。調査結果から,デフォルトリスクを低減する要因を特定した。具体的には,売上高,返済計画,返済原資,コロナ以前の借り入れ,融資期間等の視点の重要性を指摘した。また,ローカルベンチマークの活用不足や資金繰り問題を指摘し,資金情報の作成・活用の重要性を再確認した。これらの研究成果は学会で報告し,学術誌にも掲載が確定している(査読済み)。 これらの一連の研究の結果から,クライシス下における中小企業の資金調達に際し,中小企業融資の制度面,税理士が中小企業に対して果たす役割,中小企業が取るべき行動の三つの側面から,中小企業会計の活用に関する新しい示唆を提供した。
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