2022 Fiscal Year Research-status Report
地域自治の制度的保障とコミュニティの動態―新城市と恵那市の比較を中心に
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21K01832
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域自治 / 地域自治区 / 地域自治区政度 / コミュニティ / コミュニティ政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一般制度としての「地域自治区」に注目し、地域自治すなわちコミュニティ・レベルでの住民の自治の存立条件を自治体間の比較をとおして明らかにすることによって、地域自治の制度設計に援用しうる知見を得ることを目的とする。地域自治は、住民による組織・活動の水準(「住民自治」)と自治体による制度的保障の水準(「団体治」)によって、その存立が決定づけられる。本研究では、合併の7年後に制度を導入した愛知県新城市と全戸加入型NPOの存在で知られる岐阜県恵那市を対象とし、ヒアリングとアンケート調査を行うことによって、地域自治を深化させる制度的・主体的条件を定性的・定量的に明らかにすることをめざす。 研究の全体像を示すならば、第1に、理論的な検討として「地域自治」に関する多様な分野の内外の先行研究を収集し、「地域自治」概念の内包と特質を再吟味し、理論枠組みを構築したうえで、第2に、事例として取り上げる愛知県新城市と岐阜県恵那市の地域自治区および地域協議会を対象として、アンケート調査による数量的分析と聴き取り調査による質的分析を行う。両市では市内全域に一般制度としての地域自治区が設置され、地域協議会による地域自治的な取り組みが展開されつつある。地域協議会は、制度上は市長に附属する諮問機関だが、本研究では、地域協議会が有するコミュニティ・ベースの住民自治組織としての側面に焦点をあわせ、コミュニティの内実を活かす制度設計の要件を抽出する。 第2年度は、おもに理論研究として、地域自治に関する多様な分野の内外の先行研究を検討し、地域自治概念の内包と特質を再吟味し、理論枠組みの構築・彫拓を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、初年度にパイロット調査として、第2年度には本調査として、新城市と恵那市から複数地区を選定し、事例調査を実施することとしていたが、コロナ禍により、現地調査の実施が困難となった。 このため、2年度にわたって、理論的研究に集中せざるをえない状況となり、実証的研究の面でやや遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き理論的研究を深めるとともに、実証的研究として、新城市と恵那市での現地調査を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により現地調査を実施できなかったため、計上していた旅費が未消化となり、次年度使用額が生じた。
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